米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○衰えを見せないフィードロットへの導入


軽量級の導入増が顕著

 肥育素牛のフィードロットへの導入が高水準で推移している。米農務省(US
DA)によると、99年1〜10月のフィードロットへの導入頭数は、前年同期比8.8
%増の2,133万頭となった。中でも、増加が著しいのは体重の軽い牛で、99年1
〜10月における600ポンド(約270kg)未満の牛の導入は、前年同期に比べ27.8%
増加した。軽量級の牛の導入は、季節的に導入が急増する夏以降、特に目立って
いる。

◇図:体重別導入頭数(99年1〜10月)◇


根強い需要が大量導入の要因

 このように、軽量級の牛を中心に大量導入が継続しているのは、フィードロッ
トからの需要が依然として根強いことによる。好調な牛肉需要に支えられて高収
益を享受しているフィードロットは、繁殖基盤の縮小を反映して子牛の供給がタ
イトな中、肥育素牛の調達を活発に行っていると言われている。一方、周年放牧
が一般的であるカンザス州やオクラホマ州などの南部では、生産者は、秋の降雨
不足による牧草の生育不良から、冬を前にして牛を保留したがらない状況となっ
ている。フィードロットは、穀物価格の低迷で飼料コストが低く抑えられている
こともあって、体重の軽い牛を導入して肥育期間を長くする傾向を強めている。
このため、秋口に入って導入体重の軽量化が特に加速している。


導入は今後減少の見込み

 USDAによれば、2000年の子牛生産は、繁殖牛群の再構築が遅れているため、
5年連続の減少が見込まれている。また、米国同様、キャトルサイクルの下降局
面にあるカナダからの生体牛の輸入は増加が見込めず、メキシコからの供給増も
可能性が低い。こうしたことから、USDAでは、素牛供給は、2000年もタイトな
状態が継続すると見込んでいる。一方、需要について、業界では、2000年に入る
とミレニアム需要が終息するとともに、高タンパク摂取を推奨するダイエット法
の流行もいずれ去るとして、牛肉需要の沈静化を予想しており、フィードロット
への導入頭数は、2000年には減少するとの見方が大勢を占めている。しかし、
USDAでは、需給バランスで見るとひっ迫の度合いが増すとして、2000年の肥育
素牛価格は80ドル台前半まで上昇すると見込んでいる。

◇図:子牛生産頭数の推移◇

◇図:肥育素牛価格◇

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