◇絵でみる需給動向◇
タイブロイラー加工輸出業者協会が公表した99年第3四半期(7〜9月)の鶏 肉輸出(速報値)は、数量が前年同期比4.3%減の70,965トンとやや減少するとと もに、輸出金額は、冷凍鶏肉の輸出価格が大幅に下落したことなどにより、同12 .0%減の61億6千7百万バーツ(1バーツ=約2.8円)とかなり大きく落ち込んでい る。
内訳を見ると、冷凍鶏肉の数量は、オランダが同21.4%減の4,162トンと減少し たが、イギリスが量販店向けなどの増加で、同28.9%増の2,576トンと大幅に増加 したことなどにより、EU合計で同0.6%減の13,614トンとわずかな減少にとどまっ た。しかし、アジア向けは、豚に発生したニパ・ウイルスの影響により、鶏肉消 費が引き続き増加しているマレーシアが同132.1%増の1,636トン、経済が回復基 調にある韓国が同93.3%増の1,177トンと大幅に増加したが、日本向けがブラジル および中国などの輸出攻勢により同9.0%減の33,133トン、中国向けが同49.0%減 の1,168トンと大きく減少したことから、アジア向け合計で同6.2%減の40,048ト ンとなった。なお、冷凍鶏肉の輸出金額は、中国、ブラジルなどの日本向け輸出 価格が低下した影響などにより、同15.6%減の37億6千8百万バーツとなった。
また、鶏肉調製品の数量は、アジア向けが同4.2%減の10,658トンと減少したも のの、EU向けが同5.3%増の6,477トンとやや増加したため、合計で同0.8%減の17, 135トンとわずかな減少にとどまった。このような中、シンガポール向けは、フ ァストフード需要の高まりにより、前年同期に比べ49倍の1,230トンと大幅に増 加した。しかし、日本向けは、中国などの輸出攻勢などにより、同14.9%減の9, 403トンと大きく落ち込んでいる。なお、鶏肉調製品の輸出金額においても、輸 出数量がわずかな減であったものの、輸出価格の下落により同5.7%減の23億9千 9百万バーツとなった。これにより、99年第3四半期の日本向け輸出シェアは、冷 凍鶏肉が前年同期の64.0%から61.6%に、鶏肉調製品が同63.9%から54.9%にそれ ぞれ低下している。
1〜9月の輸出数量は、冷凍鶏肉が前年同期比1.8%減の155,430トン、鶏肉調製 品が同2.4%増の44,666トン、合計で同0.9%減の200,096トンとわずかな減少にな っている。また、同金額は、冷凍鶏肉が同11.9%減の108億8千万バーツ、鶏肉調 製品が同3.1%減の62億5千3百万バーツ、合計で8.9%減の171億3千3百万バーツと かなり減少した。
今後の日本向け輸出動向について、鶏肉輸出業者は、ブラジルの輸出増加な どにより、年初に1トン当たり1,900ドル(1ドル=約106円)であったもも正肉 が同1,350ドルまで下落した輸出価格を、素ひな費、飼料代などが下落傾向で推 移していることを勘案しても、タイの鶏肉処理加工業者にとっては採算割れを 来す水準と見ている。 2000年1月以降の日本向け契約については、さらに輸出価格が引き下がるの ではないかとの予測で、日本側が成約を遅らせているといわれている。タイ鶏 肉業界にとっては、ここしばらくの間、近年にない厳しい経営が続くものと見 込まれている。
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