◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、99年のブロイラー生産量(可食処理ベース)は、 ふ化羽数の増加に加え、1羽当たりのと体重量が増加したことから、前年比6.9% 増の1,351万トンになると見込まれている。94年以来となる生産量の大幅増加は、 飼料コストの低下に伴う高い収益性の確保などによるものである。しかし、大手 インテグレーターは、輸出不振および国内市場における他の食肉との競合激化に より99年夏頃から収益性が低下したことから、9月に入ると、種鶏をとう汰する などの生産調整に踏み切っている。このような状況から、USDAでは、2000年の ブロイラー生産量は、引き続き穀物価格が安値で推移することが予想され、1,4 18万トンと史上最高を更新するものの、その増加率は前年比5.0%と見込んでい る。しかし、業界では、好景気の継続は牛肉や豚肉の需要に有利に働くばかりで、 むしろ鶏肉需要の拡大を阻害するとして、増加率はUSDAの見通しを下回る1〜 3%とさらに厳しい見方をしている。 ◇図:ブロイラーの生産量および価格の推移◇
一方、USDAは、99年のブロイラー卸売価格(12都市平均丸どり価格)は、年 前半までの好調な輸出需要に支えられて大幅に上昇した98年水準からは低下し、 58セント/ポンド(136円/kg:1ドル=106円)になると見込んでいる。2000年 について、USDAでは、輸出需要の回復とともに、国内市場でもレッドミートの 供給減から需要の回復が見込まれるものの、供給の増加を吸収するには及ばない として、54〜58セント/ポンド(126〜136円/kg)と前年水準を下回るか、良く ても前年水準並みになるとみている。
ブロイラー生産加工業者は、需要の伸びに支えられて、84年以降一貫して十分 な収益を享受してきた。USDAでは、99年においてブロイラー生産で得られる収 益(丸どり1ポンド当たり:可食処理ベース)は、穀物価格の低下に伴い生産コ ストが低く抑えられたため11セント(26円/kg)となるものの、黒字幅はブロイ ラー卸売価格の低下に伴い98年より縮小すると見込んでいる。また、2000年に ついては、穀物価格は安値が継続するものの、卸売価格のさらなる低下が予想さ れるため、収益は9セント(21円/kg)と、黒字幅がさらに縮小するとUSDAは 分析している。 ◇図:ブロイラーの生産加工業者の純収益の推移◇
元のページに戻る