豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○牛乳乳製品の消費動向の変化


飲用乳消費の低迷は、し好の変化が影響

 豪州の飲用乳消費は、毎年1%程度の人口増加に伴い、過去、年率1〜3%台
で安定的な増加傾向を示してきたが、近年、消費者のし好の変化を受けて、伸び
悩む傾向にある。

 最近のデータによると、97/98年度(97年7月〜98年6月)における豪州全体の
飲用乳消費量は、191万9千キロリットルとほぼ前年度並みの水準となった。人口
が依然として増加傾向で推移しているにもかかわらず、消費量が伸び悩みつつあ
る要因は、1人当たりの飲用乳消費の低下が大きい。

 97/98年度における1人当たりの飲用乳年間消費量は、103.0リットルとピーク
時であった94/95年度の105.6リットルを2.5%も下回る結果となった。これは、
多岐にわたるソフトドリンク類など競合商品に消費者のし好が傾きつつあること
に加え、脂肪やカロリーの摂取過多に対する懸念が徐々に高まりつつあることが
影響している。

◇図:飲用乳消費量の推移◇


全脂から低脂肪へのシフトが続く

 飲用乳の販売量における製品別のシェアを見ると、全脂牛乳が89/90年度の72
%から97/98年度の59%と13%も低下しているのに対して、低脂肪牛乳は19%か
ら26%へと順調な伸びを見せている。また、フレーバー牛乳(チョコレートやイ
チゴ味のもので、全脂と低脂肪とがある。)も低脂肪製品を中心に同期間で6%
から9%へと伸びている。参考までに、ほぼ同期間の日本における全脂牛乳の製
造割合を見ると、84%から79%と豪州と比較して少ない低下となっている。近年
の豪州における飲用乳消費の動向は、日本と比較しても、より米国型に近い乳脂
肪を敬遠する傾向へとなりつつある。

◇図:飲用乳販売量のシェア◇


順調に伸びるチーズの消費

 一方、バター、チーズの1人当たりの年間消費量は、それぞれ対照的な動きを
見せている。97/98年度におけるバターの1人当たり年間消費量は2.9kgと79/80
年度の4.6kgから4割近くも減少しているのに対し、チーズについては、79/80年
度の6.6kgから97/98年度の10.9kgへと、バターとは対照的に7割近い伸びを見せ
ている。これらの背景としては、バターが飲用乳と同様、消費し好の変化を反映
してマーガリンなどへ移行してきたのに対し、チーズは、外食の増加などに伴う
食生活の変化により、消費の機会が増えたことが挙げられる。

 ここ数年、豪州でもハンバーガーや宅配ピザに代表される大手ファストフード
チェーンが、都市部を中心に豪州全土へ進出しており、テレビなどを使った宣伝
も影響して、製品に用いられるチーズの消費は着実に増えている。また、他国か
らの移住民の増加に伴う新たな食文化の流入、もチーズの消費に少なからず影響
を与えている。

◇図:乳製品消費量の推移(1人当たり)◇

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