米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○チーズ価格が急落


買い上げ水準まで低下

 チーズ価格が下落している。米農務省(USDA)によると、チェダーチーズの
卸売価格(ウィスコンシン地区のFOB価格)は、99年5月を底にその後上昇し、8
月には189セント/ポンド(442円/kg:1ドル=106円)を記録した。しかし、9
月以降下落を続け、11月には前年同月比37.8%安の117.3セント/ポンド(274円
/kg)と、97年5月以来の安値を付けた。これは、商品金融公社(CCC)の価格
支持制度(必要に応じて乳製品を買い入れることを通じて加工原料乳の農家受取
価格を間接的に下支えする制度)におけるチーズの買い上げ価格(現行は110セ
ント)に極めて近い水準である。また、チーズ価格の下落に伴い、基礎公式価格
(BFP:全米の生乳生産の約7割が対象となる連邦ミルク・マーケティング・オー
ダー制度において、用途別乳価算定の基となる価格。生乳価格の指標の1つ。)
も、99年11月には9.79ドル/100ポンド(23円/kg)と、21年ぶりの低水準とな
った。

◇図:BFPおよびチーズの卸売価格◇


供給過剰が急落の原因

 このようにチーズの価格が3ヵ月で40%近くも下落したのは、供給が急増した
ことによる。チーズの生産量は、旺盛な需要を反映して、99年7月以降、前年同
月比7〜9%増と高い伸びを示した。一部のメーカーでは、コンピューターの2000
年問題への対応から年末年始の操業を見合わせるため、秋口に前倒しで増産した
とも伝えられている。また、98年10月以降、前年を上回る生産が継続しているこ
とで、在庫量は、例年に比べて高水準となっている。このため、需要は好調であ
るものの、供給が急激に増加したことから、価格が一気に下落したとみられる。

◇図:チーズの生産量◇

◇図:チーズの在庫量の推移◇


供給減で春以降回復の見込み

 USDAによると、チーズの需要は、好況が継続するため、引き続き堅調に推
移していくと見込まれる。業界では、年末から1月にかけては、ミレニアムパ
ーティーやアメリカンフットボール観戦パーティー用にピザなどの個人消費が
活発化し、在庫の減少が予想されることから、チーズの価格は今後回復に向か
うとする見方が一般的となっている。また、生乳生産者は今後、生乳価格の低
下に反応して生産を縮小させていくとみられる。このため、USDAでは、BFPは
2000年第2四半期には11ドル台に戻り、年平均では12.15ドル/100ポンド(28円
/kg)まで回復するとしている。

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