◇絵でみる需給動向◇
豚肉生産が依然として高水準で推移している。米農務省(USDA)によると、 99年1〜11月の豚枝肉生産量は、と畜頭数および枝肉重量の増加により前年同期 比2.2%増の798万トンとなった。中でも、枝肉重量は、主産地が秋口の天候に恵 まれたことから、99年1〜11月の平均が86.5kg/頭と記録的な高水準となった。こ うしたことから、USDAでは、99年通年の生産見込みを上方修正し、前年比2%増 の879万トンと過去最高を更新すると見込んでいる。 ◇図:豚肉生産および肥育豚価格の推移◇
2000年について、USDAは、繁殖豚頭数が98年末から減少が続いていることに 加え、肥育豚価格の低迷により生産者の種付け意欲が減退していることから、豚 肉生産は減少に転じるとみている。養豚部門では、今後もインテグレーションの 一層の進展が予想される。これらの大規模経営は、産子数や増体重の増加などに よる生産性の向上が可能であり、その上昇率は年間3〜5%に達するともいわれる。 このため、業界では、大規模経営の生産性向上が繁殖基盤の縮小を部分的に相殺 し、減産幅は圧縮されると見る向きが多い。USDAも、2000年の豚枝肉生産量は 前年比4%減の845万トンと、99年9月時点における繁殖豚頭数の減少割合(前年 同期比8%減)に比して小さい減産幅を見込んでいる。
一方、USDAによると、99年の肥育豚価格(全米平均取引価格)は、秋口に入 ってベーコン人気やミレニアム用手当てなど需要が回復したものの、年平均では 史上最低となった98年よりさらに1.6%下回る32.43ドル/100ポンド(約76円/kg :1ドル=106円)になると見込まれる。これに対し、2000年は、豚肉のみならず 牛肉を含むレッドミート全体の供給量が減少するとみられることから、一部の関 係者は、肥育豚価格は40ドル台に達すると強気の予想をしている。しかしながら、 USDAは、ブロイラーの供給増および豚肉の輸出減がそれぞれ見込まれることか ら、上昇幅は3ドル程度にとどまり、2000年平均では34〜37ドル/100ポンド(約 79〜86円/kg)になるとみている。
養豚経営(一貫経営)は、肥育豚価格の大暴落により98年には大幅な赤字に転 じた。99年も価格が上昇しなかったことなどから、生産者は赤字経営から立ち直 れないとみられる。2000年の収益性について、業界筋では、生産は減少するもの の、引き続き需要を上回る供給が見込まれ、需給バランスが均衡するにはさらに 1年以上要するとして、3年続きの赤字経営になるとみている。 ◇図:養豚経営における純収益の推移◇
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