欧米向け牛肉輸出の新たな展開(アルゼンチン)


欧米向け牛肉輸出は、重量ベースで6割、金額ベースで7割

 アルゼンチン農牧水産食糧庁によれば、99年上半期(1〜6月)の牛肉輸出は、
輸出量(枝肉ベース)で約16万4千トン、輸出額(FOBベース)で約3億4百万ドル
(約322億円:1ドル=106円)となった。輸出量の国別シェアは、EU38%、米国
23%、チリ19%、ブラジル3%、その他17%であった。EUと米国を合わせた輸出
シェアは、輸出量で約6割、輸出額で約7割を占める。


EU向けひき肉、調製品の輸出はこれまで不可

 EUは、アルゼンチンに対し、生鮮冷蔵・冷凍牛肉の関税割当枠である高級牛肉
枠(ヒルトン枠)などの輸出を認めている。しかし、ひき肉および調製品につい
ては、製造過程でサルモネラ菌、大腸菌などの腸内細菌による感染の可能性が高
いこと、原料の出どころを証明する体制が十分でないことなどを理由に、これま
で輸出を認めていなかった。また、これには、第3国との競争を避けたいという
EU加盟国内の食肉業者の意向も働いていたとみられる。


EUの理事会決定が門戸を開く

 アルゼンチンは、食肉産業の利益を考慮し、94年以降、EUに対しひき肉および
調製品の輸出を認めるよう働きかけを行っていた。

 こうした中、アルゼンチンの食肉衛生管理体制に対する信頼性の高まりなどを
受け、EUは、10月15日付けの理事会決定に基づき、ひき肉および調製品の輸入が
許可されたアルゼンチンの食肉加工施設のリストを発表した。同リストの内容は、
以下の通りである。

EU向けひき肉および調整品の輸出が許可された食肉加工施設リスト
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10月下旬に輸出第1陣がドイツ向けに

 このEUの理事会決定を受け、クイックフード社は、10月25日、牛肉を100%使
用したハンバーガーパティ約10トンをドイツ向けに輸出した。今後、同社は、年
間約1千トンを目標に輸出を行う意向があると現地報道は伝えている。


対米向けでは、アンガス牛肉認定プログラムの牛肉が輸出開始

 一方、対米輸出においては、10月24日、農畜産品衛生事業団(SENASA)が管
理するアルゼンチンアンガス牛肉認定プログラムにより認定を受けた牛肉1トン
が、アルゼンチンブリーダーズアンドパッカーズ社から輸出された。これは、9
月の米農務省による同プログラムの承認を受けて行われたものである(詳細は本
誌99年11月号「トピックス」参照)。


業界では、今後の牛肉輸出の拡大につながると期待

 アルゼンチンの牛肉業界では、こうした動きは、同国の牛肉の衛生管理体制や
品質保証制度が対外的に評価されたことを裏付けるものであり、今後の牛肉輸出
の拡大につながるものと期待している。

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