FMMO制度改革案の修正法案が成立(米国)


飲用向け乳価算定はオプション1Aを採用

 米農務省(USDA)から99年3月に発表された連邦ミルク・マーケティング・オ
ーダー(FMMO)制度改革案の修正法案を含む2000年度包括統合予算法案が、同
年11月29日、クリントン大統領の署名により成立した。

 上記修正法案においては、@飲用牛乳(クラスT)価格算定につき、現行のク
ラスT差額と変わらないオプション1A(現行のクラスT差額に最近の経済状況を
勘案して微調整を加えたもの)を採用すること、Aチーズ向け(クラスV)およ
びバター・脱脂粉乳等向け(クラスW)価格算定に必要な製造経費見合額の適正
な水準を検討するため、USDAが公聴会を開催し、新たな算定公式による価格設
定を2001年1月1日までに実施すること、Bソフト乳製品向け(クラスU)、クラ
スVおよびクラスW生乳について、生産者が先物契約を利用するパイロット事業
をこの法律の施行後90日以内に実施すること、CFMMO制度改革案の実施と同時
に廃止が予定されていた北東部酪農協定(地域経済の酪農依存度が高く、小規模
経営が多い北東部のニューイングランド諸州に対して、FMMO制度に拘束されな
い高い乳価の設定を認めるもの)を2001年9月30日まで延長することが規定され
ている。

 なお、USDAの改革案のうち、マーケティング・オーダー地域の統合(31から
11へ)、基礎公式価格(BFP)について乳成分の価値に基づき算定される新たな
指標価格への変更などは、修正なしで実行に移される(詳細については、本誌99
年5月号「トピックス」参照)。


生産者は一様に歓迎

 生乳生産者団体である全国生乳生産者連盟(NMPF)は、酪農家の収入を年間
2億ドル(約212億円:1ドル=106円)減少させるとして、オプション1Aを採用
することなど、その修正を議会に対して強力に働きかけてきた。このため、コザ
ックNMPF最高経営責任者は、今回の法案成立について「全米の生乳生産者の圧
倒的な勝利」と歓迎している。

 また、全米最大の酪農協であるデイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカも、
今回の結果に満足の意を示すとともに、99年10月に成立した農業歳出法案で加工
原料乳価格支持制度が1年間延長されたことなどにも言及し、生乳生産者をめぐ
る経営環境がより安定的なものになったとのコメントを発表した。


新制度は2000年1月から施行の見込み

 新たなFMMO制度は、2000年1月から実施されることとなっている。しかし、
現在USDAのFMMO制度改革案の実施をめぐっては、その悪影響を懸念した酪農
協の裁定申請に基づく訴訟が数ヵ所で行われていることから、これらの解決が制
度実施の前提となる。USDAの改革案については、当初、生乳生産者による全体
投票での承認により所定の手続きを完了し、99年10月1日からの実施が予定され
ていた。しかし、訴訟により連邦地方裁判所が暫定的禁止命令を下したことから、
施行は現在、猶予された状態となっている。

 修正法案の成立により、酪農家への影響の緩和が見込まれることで、酪農協の
訴訟を継続する根拠が弱まり、訴訟は解決に向かうのではないかとの見方がある
ものの、現在審理が行われているところであり、予断はできない状況となってい
る。
◇99年 1 月 1 日現在のミルク・マーケティング・オーダー(31地域)◇
order-1.gif (50318 バイト)
                 ↓
◇2000年1月からの実施が見込まれる新たなミルク・マーケティング・オーダー(11地域)◇
order-2.gif (56279 バイト)
資料:AMS/USDA
飲用規格(グレードA)生乳の用途別区分の見直し
kikaku.gif (4983 バイト)
 注:グレードAは、米保健社会福祉省食品医薬品局(FDA)が示す基準に従い、
   各州が定める飲用向け生乳基準を満たしたもの。グレードBはUSDAが示
   す基準に従い、各州が定める加工原料乳基準を満たしたもの。

元のページに戻る