中国のWTO加盟交渉、米加が相次いで合意(米国、カナダ)


米中は長期交渉の末の合意

 バシェフスキー米通商代表部(USTR)代表と石広生・中国対外貿易経済協力相
は99年11月15日、両国が13年間にわたる長期の交渉を経て、中国の世界貿易機関
(WTO)加盟交渉で合意に達したと発表した。また、11月26日には、中国は、カ
ナダともWTO加盟交渉で合意に達している。


米国の農業分野の合意内容は4月合意と同じ

 農業に関する合意内容の詳細は明らかにされていないが、バシェフスキーUS
TR代表は、99年4月に合意された内容と全く変わりがないことを表明している。
したがって、農業分野における合意内容は次の通りとみられる(詳細については、
本誌99年6月号「トピックス」参照)。

 中国の農産物に関する平均関税率は、中国のWTO加盟後、2004年までに毎年均
等に17%まで引き下げられる。このうち、米国の優先品目については14.5%まで
引き下げられる。
 
主な畜産物の関税削減に関する合意内容は次の通りである。

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 また、食肉については、これまでホテル・レストラン向けとして2社だけに輸
入が認められていたが、中国が米農務省(USDA)の安全性に関する証明書を受
け入れることとしたことにより、検疫・衛生の観点からも米国産の牛肉、豚肉お
よび家きん肉に対して中国市場が開放されることになる。他方、穀物については、
関税割当制度が適用されることとなる。関税割当内の関税水準は1〜3%程度に設
定され、小麦、トウモロコシ、米、大豆油などの関税割当枠が大幅に拡大される
こととなった。

 以上のほか、中国は国家貿易企業の役割・関与の削減、輸出補助金の撤廃など
について合意している。

 今後、米国政府は、議会から中国に対する正常貿易関係(NTR:最恵国待遇
(MFN)と同義)恒久化の承認を得なければならない。


カナダは穀物などの市場アクセスを改善

 一方、カナダのペティグルー国際貿易相が声明文の中で明らかにしたところに
よると、関税引き下げについては、中国は、カナダの優先品目である工業製品お
よび農産物(カノーラ、カノーラ油、小麦、大麦、モルト、アルファルファ・ペ
レットを含む。)の関税率を、WTO加盟後2年半の間に、全体として平均12.5%か
ら5.2%に引き下げることとした。また、カノーラ油および小麦には、次のよう
な関税割当制度が適用されることとなった。

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 このほか、カナダと中国は、WTO加盟交渉と平行して、中国の衛生植物検疫
(SPS)規則に関する協議を行った。中国のSPS規則について、カナダは、牛肉、
豚肉および家きん肉などの中国向け輸出に影響を及ぼすとして、長年にわたって
関心を示してきた。両国の協議の結果、中国は、この問題については、健全な科
学的根拠に基づいた検討スケジュールを明示することに合意した。


正式加盟にはさらなる手続きが必要

 中国がWTOに正式に加盟するまでには、今後、EUなどとの2国間加盟交渉、WTO
作業部会での加入議定書や合意内容の実施スケジュールに関する協議など を経る
必要がある。  このうち、2国間交渉については、これまでに米国、カナダ、豪
州、日本など との交渉が終了しているものの、今後、中国政府は、EUなどを含む
20数ヵ国と の交渉が残されており、併せて、中国国内での加盟手続きを完了しな
ければ ならない。 

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