豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○頭数確保がカギとなるフィードロットの飼養動向


高稼働率を保つフィードロット

 豪州フィードロット協会(ALFA)は2月初め、豪州家畜生産者事業団(MLA)
との共同調査による四半期ごとのフィードロット飼養動向を発表した。これによ
ると、99年12月末時点の飼養頭数は、51万8千頭と前年同期を2.5%上回った。フ
ィードロットの稼働率(収容能力に対する実飼養頭数の割合)については、前年
同期を5.6ポイント上回る61.8%であった。昨年6月末調査時点まで上昇を続けた
飼養頭数は、前回9月末時点に引き続きやや減少することとなり、落ち着きを見
せ始めたものの、依然として高水準を保っている。

◇図:フィードロット飼養状況の推移◇


日本向けは着実に増加、韓国向けは大きく躍進

 フィードロットの飼養頭数を州別に見るとクインズランド州やニューサウスウ
ェールズ州では、年末に向けての出荷が一段落したことから、前回9月末時点の
飼養頭数と比べかなりの減少を見せた。

 出荷別の飼養頭数については、日本向けが前年同期を6.7%上回る32万1千頭と
なり、飼養頭数全体に占める割合を62.0%と前年同期から2.4ポイント伸ばした。
日本に次ぐ輸出先である韓国向けは、経済回復に伴う牛肉消費の拡大を反映し、
前年同期の2.4倍となる1万4千頭と大幅増になった。飼養頭数全体に占める割合
では2.7%とまだまだ少ないものの、豪州産穀物肥育牛への需要は着実に回復し
ている。

 一方、飼養頭数の約3分の1を占める国内向けは、前年同期を1.0%下回る17万
5千頭となり、結果的に価格面でメリットのある輸出向けの伸びが中心となった。

州別フィードロット飼養頭数
be-aus06.gif (4761 バイト)
 資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」
  注:認定フィードロットのみを対象とし、500頭以下の
    フィードロットを含む。


頭数確保をめぐり、懸念される価格への影響

 ALFAによると、2000年のフィードロット飼養状況については、需要に支えら
れ前年に引き続き上昇基調で推移するとしている。これは、高値が続く米国産牛
肉の影響を受け、日本向けを中心に豪州産牛肉の輸出増加が予想されること、さ
らに、韓国の牛肉輸入枠拡大など豪州にとって好条件が見込まれることによる。

 しかしながら、フィードロットへの肉牛供給について見ると、農家段階では既
に、牛群再編に向け雌牛を中心とする出荷抑制への動きが確実に進んでいる。こ
れは、97年中旬から急激に拡大した輸出需要に加え、干ばつにより雌牛を中心に
と畜が増加したためである。結果的に雌牛のと畜は、長期間にわたりと畜頭数全
体の5割を超えるという事態となった。

 フィードロットからの肉牛需要は高まるものの、供給の先細りが予測され、ま
た、競合する生体牛輸出も、高い需要に支えられ着実に増加していることから、
輸出を含めた価格面への影響が懸念される。

◇図:肉牛と畜の増減比(前年同期比)◇

元のページに戻る