◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)の飼養動向調査によると、2000年1月1日現在における牛の 総飼養頭数は、前年比1.1%減の9,805万頭となった。キャトルサイクル(肉用牛 経営の収益性がもたらす循環的な牛群消長)は、95/96年度(販売年度)におけ る記録的な穀物価格の上昇に伴う肥育経営の収益性悪化、子牛価格の低迷および 96年から98年にかけての局地的な干ばつに伴う粗飼料不足により、96年をピーク に減少に転じ、現在下降局面にある。今回の調査結果から、頭数は4年連続して 減少していることが明らかになった。また、牛群構築のカギを握る繁殖雌牛およ び更新用未経産牛頭数は、いずれも前年を下回った。 牛の飼養動向 資料:NASS/USDA「Cattle」 注1:500ポンド以上 2:500ポンド未満の子牛 3:各年1月1日現在 ◇図:牛の総飼養頭数の推移◇
USDAでは、頭数減少の要因について、牛肉需要が好景気を背景に極めて旺盛 であったことから、フィードロットが活発に肥育素牛を調達したためと分析して いる。さらに、USDAは、供給サイドの要因として、99年秋にも干ばつに見舞わ れた南部などの主要繁殖地帯で粗飼料が不足したため、生産者が牛群の縮小を余 儀なくされたことを挙げている。周年放牧が一般的であるカンザス、テキサスな どの南部諸州では、多くの更新用未経産牛群も肥育に仕向けられたとみられてい る。このため、1月1日現在のフィードロットにおける飼養頭数は、前年比5.8% 増の1,398万頭と過去10年間で最高となった。 ◇図:フィードロットにおける牛飼養頭数◇
99年の肥育素牛価格は、好調な牛肉需要を反映して高水準で推移し、99年平均 では前年比6.3%高の100ポンド当たり82.6ドル(193円/kg:1ドル=106円)とな った。これを受けて、繁殖経営の収益性も99年11月に黒字に転換している。また、 ここ数年干ばつに苦しんだ生産者は、保留に対する潜在意欲が旺盛であるとも伝 えられている。こうしたことから、USDAでは、今年は5年ぶりに牛群の再構築局 面に入るとし、再構築の時期については、春に生産される子牛が離乳する今秋以 降と見込んでいる。
元のページに戻る