米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○供給増と需要低迷でブロイラー卸売価格が低下


1月は前年比2ケタの落ち込み

 ブロイラーの卸売価格が今年に入って低下している。米農務省(USDA)によ
ると、2000年1月の卸売価格は、もも肉が前年同月を5%程度上回ったものの、む
ね肉などの部位が大きく下回り、平均では前年同月比10〜20%安と2ケタの落ち
込みとなった。卸売価格は、ロシア向け輸出が激減したことから98年8月をピー
クに下降し始め、その後も概して前年を下回って推移していたが、1月には一部
地域で丸どり価格が40セント/ポンド(93円/kg:1ドル=106円)を割り込むな
ど近年にない低水準を記録した。

◇図:ブロイラーの卸売価格◇


供給増と需要低迷が低下の要因

 このように今年に入って相場が低下した要因としては、第1に供給の増加が挙
げられる。ブロイラー生産量は98年6月以降一貫して前年を上回って推移し、今
年1月には前年同月比8.2%の増となった。一部の処理加工業者による生産調整が
伝えられるものの、1羽当たりのと体重量の増加などにより、供給量が縮小する
状況には至っていない。第2の要因としては、需要の不振が続いていることが挙
げられる。国内市場では、好景気に後押しされて、消費者が牛肉への嗜好を強め
ていることから、量販店などでの特売は牛肉に重点が置かれているという。さら
に、業界の間では、と体重量の増加に伴い大型化したむね肉は、ファストフード
などの外食市場の需要に対応できる一方、定番メニューに合った従来の大きさの
商品を好む家計消費には不適であるとみられている。こうしたことから、潤沢な
供給は需要を吸収しても余りある状態となり、保管のために冷凍凍結に回された
鶏肉在庫の水準は依然として高いものとなっている。

◇図:鶏肉在庫量の推移◇


さらなる下落は回避される見込み

 今後の動向について、供給面では、ブロイラーの増産ペースが鈍化するととも
に、レッドミートが減産するとみられることから、2000年の食肉の総供給量は前
年水準を下回ると見込まれている。また、需要面では、輸出市場で需要が堅調に
推移するものとみられる。このため、USDAでは、ブロイラー価格のこれ以上の
下落は避けられるとし、2000年平均では、55〜59セント/ポンド(128〜138円/
kg)となるとみている。

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