米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○生乳価格の低迷で、酪農家へ直接補助金を交付


生乳価格、4ヵ月で25%の下落

 米農務省(USDA)によると、2000年1月の生乳農家販売価格(グレードA(飲
用規格乳)価格およびグレードB(加工用規格乳)価格の加重平均)は、前年同
月比31.6%安の11.9ドル/100ポンド(28円/kg:1ドル=106円)となった。これ
は、91年7月以来の低水準であり、最近のピーク時であった99年9月と比べると、
わずか4ヵ月で25%も値を下げたことになる。

◇図:生乳および主要乳製品の価格◇


供給過剰が価格急落の要因

 生乳価格がこのように急落したのは、生乳生産の増加が続いて供給が過剰とな
ったことによる。生乳生産量は、98年10月以降前年を上回って推移し、99年通年
では7,381万トンと前年比3.4%の増加となった。特に、今シーズンは、暖冬で生
産ペースが落ちていないと伝えられている。これに伴い、乳製品の生産も増加傾
向で推移しており、乳製品の卸売価格は99年夏以降下落が続き、2000年1月では
バターが前年同月比36.3%安、チーズが同29.4%安となった。

USDA、酪農家への直接補助金の交付を発表

 こうした中、USDAは1月19日、最近の生乳価格の低迷に対する支援対策として、
総額1億2千5百万ドル(133億円)に及ぶ、酪農家に対する直接補助金の交付を発
表した。これは、99年10月に成立した2000年度(99年10月〜200年9月)農業関連
歳出法案において決定された総額87億ドル(9千2百億円)の緊急農家支援対策の
一環として措置されたものである。

 USDAは、99年夏にも、7万6千戸の酪農家に対し2億ドル(212億円)の直接補
助金を交付しており、基本的な事業の仕組みは、これとほとんど同じとなってい
る。補助金の交付は、97年または98年のうちいずれか生産量の多かった年を基準
として、最高260万ポンド(1,179トン)までが対象となる。補助金の交付を受け
るための酪農家の要件は、98年第4四半期に生乳の生産を行っていたことである。

 最終的な支払単価は、酪農家の申請状況によって決定されることとなるが、業
界の試算によれば、生乳100ポンド当たり0.14ドル(0.32円/kg)になるとみられ
る。経産牛80頭、1頭当たり生乳生産量1万7千ポンド(7,711kg)、年間生産量
36万ポンド(617トン)という平均的な酪農家の場合は1,900ドル(20万円)、上
限量まで生産している酪農家の場合は、約3,600ドル(38万2千円)の補助金を受
け取ることになる。なお、補助金交付の申請期間は、1月24日から2月28日までと
なっている。

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