米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○進展著しい養豚生産構造の変化


飼養規模の拡大が顕著

 米農務省(USDA)によると、99年の豚飼養戸数は、98,460戸と初めて10万戸
を割り込んだ。これは、前年に比べ13.5%減、5年前の94年に比べると49.8%減と
いう大幅な減少である。このように急激な減少は、中小規模層が中心になってお
り、8割以上を占める飼養規模1千頭未満の経営が、いずれの階層も5年前と比べ
てほぼ半減している。一方、飼養規模5千頭以上の経営は、シェアは2.0%ながら
毎年着実に増加し、94年に比べると71.4%の大幅増となっている。このような大
規模経営は、育種改良面に力を注ぐとともに、生産段階ごとに異なる施設で飼育
するなど厳密な衛生管理や個体管理の下、合理的かつ効率的な生産体制を採って
いる。

飼養規模別養豚経営体数
po-us05.gif (9280 バイト)
 資料:NASS/USDA「Hogs and Pigs」
 注1:戸数は、99年に豚を飼養した実績のある経営体数	
  2:頭数は、99年12月1日現在


5千頭以上の経営が半数近くの豚を飼養

 飼養頭数の規模別分布を見ると、99年では全米の46.5%の豚が5千頭以上の大
規模経営で飼養されている。中でも飼養頭数が第2位のノースカロライナ州では、
5千頭以上層が73%、1千頭以上層が98%と、大規模経営への集中が際立ってい
る。これは、中西部の伝統的な養豚生産州が、家族農業の発展を目的として企業
的農業経営を規制しているのとは対照的に、同州は80年代後半から企業養豚を誘
致してきたことに起因している。

◇図:経営規模別頭数シェア◇


大規模と小規模の出荷シェアは10年で逆転

 大規模化の進展は、肥育豚の出荷にも影響を及ぼしている。アイオワ州立大学
によると、出荷頭数が年間100頭未満の経営に由来する肥育豚の全米シェアは、
88年の32%から97年には5%へと激減した。これとは対照的に、年間5万頭以上を
出荷する経営に由来する肥育豚のシェアは、88年の7%から97年には37%と大幅
に増加している。こうした企業経営の出荷形態は、販売先や販売価格の確保など
リスク管理の面から複数年の契約生産が大宗を占めている。パッカー側にとって
も、契約生産は、稼働率の向上や斉一性のとれた原料調達が可能となるなどメリ
ットは大きい。これらは、養豚経営から豚肉生産までの垂直統合(インテグレー
ション)が近年急展開している背景になっているとされる。アイオワ州立大学で
は、98年における契約生産およびインテグレーションによる出荷シェアは、全米
平均で64%、出荷頭数50万頭以上の経営に限ってみると95%に及ぶと試算してい
る。

◇図:規模別出荷頭数シェア◇

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