ブラジル南部・中西部の口蹄疫清浄地域を発表


1連邦地区と5州を新たにワクチン接種清浄地域と発表

 ブラジルの口蹄疫清浄地域の地図が塗り替えられようとしている。ブラジルの
モラエス農相は昨年12月28日、同国の肉牛生産地帯であるブラジリア連邦地区
(ゴイアス州の特別区)、ゴイアス州、サンパウロ州、マット・グロッソ州、ミ
ナス・ジェライス州、パラナ州の1連邦地区と5州を新たにワクチン接種口蹄疫清
浄地域と公式に発表した。同国政府は、今年5月の国際獣疫事務局(OIE)総会の
公式認定に間に合うよう、既に同事務局に要請している。

認定されれば牛肉の約半分が清浄地域で生産

 ブラジルでは、98年にリオ・グランデ・ド・スル州とサンタ・カタリナ州の南部2
州に限り、ワクチン接種口蹄疫清浄地域として認定された。これを受けて、同国
政府は現在、米国に対しこれら南部2州からの生鮮牛肉の輸出解禁を要請してい
る。

 今回、新たに発表された1連邦地区と5州が、今年5月のOIE総会において口蹄疫
清浄地域として認定されれば、同国の肉牛飼養頭数の半分弱、牛枝肉生産量の約
半分を占める地域がワクチン接種清浄地域と認定されることとなり、南米からの
牛肉輸出に新たな展開も予想される。

◇ブラジル行政区分図◇
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ブラジル関係5州の牛飼養頭数および枝肉生産量等(98年)
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 資料:コンサルタント情報
  注:輸出量は枝肉ベース


今後の牛肉輸出にはさまざまな見方も

 パラナ州クリティバの在伯アルゼンチン領事館によれば、パラナ州は現在年間
3万3千トン(牛・豚肉)、金額で3千8百万ドル(40億円:1ドル=106円)の食肉
を輸出しているが、公式認定後は重量ベースで6倍強の20万トン、金額ベースで
10倍弱の3億6千8百万ドル(390億1千万円)の輸出増が見込まれると州政府が発
表したとしている。    

  しかし、同州の業界団体筋は、現在、同州の牛肉生産量は年間約21万トンで、
国内需要も勘案すると輸出割合は多くても10%が限度で、州政府の発表は過大で
あるとしている。


海外市場をめぐり競合激化の可能性

 ブラジルの99年の牛肉輸出量(枝肉ベース)は、前年の37万トンを大幅に上回
る50万トン前後と見込まれている。

 隣国アルゼンチンでは、最近、価格競争力の強いブラジル産牛肉の輸出攻勢に
遭って守勢に立たされるなど、アルゼンチンの牛肉産業にとってもブラジルの口
蹄疫清浄化の動きは大きな関心事となっている。両国の牛肉は品質面で競合しな
いとされるが、公式認定後は、海外市場をめぐって一層激しい市場獲得合戦が繰
り広げられる可能性がある。

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