中央農村工作会議開催、初の食糧減産へ(中国)


99年の目標はほぼ達成、一方で農産物価格の低迷も

 中央農村工作会議が、今年1月5〜6日に北京で開催された。この会議は、毎年
3月に開催される全国人民代表大会(全人代:日本の国会に相当)に先立ち開催
されるもので、前年の農業活動の成果を総括し、全国の地方政府に対し、その年
の中央政府の農業政策や政策目標などを周知徹底させる場となっている。

 中国では、北部は干ばつ、中南部は低温・水害があったにもかかわらず、99年
の食糧(穀類、イモ類、豆類)総生産量は、目標の4億9,500万トンを上回る5億
トン余りと見積もられている。これについて、関係者は史上最高となった98年の
5億1,230万トンに次ぐ記録であるとしている。

 この会議において陳耀邦・農業部長(農相)は、99年の農業および農村経済に
ついて、引き続き緩やかな成長を維持し、積極的な構造改善と財政政策により目
標はほぼ達成したと評価する一方、農産物の生産の伸びに比べて消費が伸び悩み、
結果的に供給過剰による農産物価格の低迷が続いたと述べた。このため、今後は
農産物の品質を高めることに力点を置くとともに、目先の農産物の販売難と農村
の増収難を解決するだけでなく、農業および農村経済の長期的な発展、ひいては
国民経済全体の発展についても考えなければならないとした。


7項目の努力目標を設定

 今年の会議では、農業および農村経済の発展を図るため、重点事項として次の
7項目の努力目標が掲げられた。

1 構造改善と農家の増収に重点を置き、積極的に農業および農村経済の構造を
 調整し、農業全体の資質と収益を高める。

2 国有農業開墾企業(国有農場および第一次産業から第三次産業まで多くの業
 種を経営する企業などからなり、公共事業や社会事業も行う企業グループ)と
 郷鎮企業の改革および発展を速める。

3 農業基盤の整備を強化し、農業の総合生産力を高める。

4 科学技術の導入をさらに進め、新しい農業技術の開発・促進を図る。

5 安定的な農業普及体制を確保し、農家などに対するサービス向上と農家経営
 の構造改善を図る。

6 農村政策の実施を強化し、農業に関する法制度の構築を推進する。

7 引き続き貧困地域への補助を強化する。

 同会議では、農業の構造調整を円滑に行うため、このほかに作物の品種や耕作
区域の配置などの調整、農業の機械化の推進、農産物の市場情報体系および品質
基準体系の構築、備蓄の多い食糧の有効利用により畜産業の発展を図ることなど
についても重点を置くべきであるとされた。


食糧生産、2000年は減産目標に

 この会議においては、併せてその年の食糧などの生産目標が設定されることに
なっている。これによると、2000年の食糧生産の目標は、前年の目標を500万ト
ン下回る4億9,000万トンとされた。中国はこのところ5年連続の豊作で、国の倉
庫には、1年分の生産量に相当する約5億トンの食糧が備蓄されているといわれる。
このため、今後1〜2年不作が続くとした場合でも食糧自給が可能であると判断さ
れたことに加え、国の食糧管理会計が赤字である上に、農家は「豊作貧乏」とい
う状況が続いていることなどが、減産目標設定の背景にあるとみられている。

 具体的には、食糧の播種(はしゅ)総面積を、前年実績見込みの約1億1,300万
ヘクタールより少ない約1億1,000万ヘクタールとし、質などの点で市場で高く売
ることができない長粒種の南方早稲、冬まき小麦、東北の春まき小麦などの播種
面積を減らすとともに、これらを政府保護価格による買い上げ対象からはずし、
生産を奨励しないという方針を農家に示した。

 また、農村企業の目標成長率を14%とし、農民1人当たりの純収入を4%増加さ
せるとともに、農村の貧困人口を1,000万人以上減少させることなどにより農家
の所得を向上させ、内需拡大や消費刺激を図ることとしている。

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