2000年ミニマムアクセス枠を公表(フィリピン)


各品目とも前年を上回る枠を設定

 フィリピン政府は、世界貿易機関(WTO)協定に基づく、畜産物などの今年の
ミニマムアクセス数量(MAV)を公表した。これによると、次表のように各品目
とも前年を上回る数量が設定されている。

 フィリピンでは、急速な経済発展に伴って食肉消費が拡大し、95年の1人当た
りの消費量は、豚肉が14.2kg、鶏肉が5.8kgとなっており、92年(豚肉13.1kg、
鶏肉5.5kg)から増加傾向で推移している。しかし、97年後半に発生した通貨危
機による経済の停滞により、所得の減少や輸入品を中心とする物価の上昇など
の影響を受け、需要が伸び悩む状況となっていた。

 また、トウモロコシについては、98年のエルニーニョ現象など異常気象の影響
により生産量が急減し、それまで需要を賄っていた国産品が大幅に不足する事態
となったため、98年には14万5千トンのMAV枠のほかに、低関税率による追加輸
入枠を30万トン設定することとなっていた。

フィリピンにおける2000年のミニマムアクセス枠
access.gif (1982 バイト)


99年は鶏肉、トウモロコシでMAV枠を超える輸入

 99年は、鶏肉などの消費が回復基調となった一方で、国産鶏肉の価格が上昇し
たことから、一部の業者が、免税輸入した鶏肉などを、それらの販売が禁止され
ている一般のスーパーマーケットなどで低価格販売するなどの違法行為が見られ
た。このため国内生産にも影響が出ており、99年第3四半期までの鶏肉生産量は、
前年同期比1.4%減となった。こうした背景から、現在では肉類の免税輸入が停
止されている。

 また、トウモロコシについては、98年は不作だったものの、99年第3四半期ま
での生産量は前年同期比30%増と、近年にない豊作であったといわれているが、
回復しつつある畜産部門からの需要に見合うまでの生産量には至っていない。こ
のため、99年には、鶏肉とトウモロコシでMAV枠を超えた輸入がなされている。


管理委員会はトウモロコシの追加枠を検討

 こうした状況の中、アンガラ農務長官を議長とするミニマムアクセス数量管理
委員会(MMC)は、今回設定されたトウモロコシのMAV枠のみでは、回復の見られ
る国内需要を満たすことができないとして、さらに15万1千トン程度の低関税率
での追加輸入枠を設けることについて検討している。同農務長官は、すぐにでも
約5万トンの輸入が必要な状況にあることから、2000年3月までに5万1千トン、
年末までの期間で約10万トンの追加枠が必要ではないかとしている。MMCでは具
体的な数量を検討の後、追加輸入枠について国会に承認を要請することとしてい
る。

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