ゴア副大統領、2001年度環境保全対策を発表(米国)


総額13億ドルを増額要求

 ゴア副大統領は1月7日、農家に対するセーフティネット強化対策として、
2001年度予算(2000年10月〜2001年9月)において、家族農業経営体による
水質、環境および土壌の保全を支援する環境保全対策について、新たに13億ドル
(1,378億円:1ドル=106円)を増額要求していくと発表した。本対策を含む予
算案は、2月7日に議会に提案された。

新規事業に6億ドルを投入

 本対策の概要は、以下の通りである。

 第1に、対策の中心となる保全確保事業(Conservation Security Program)
については、2001年度および2002年度において、それぞれ全体の半額近い6億
ドル(636億円)の予算を提案している。本事業は、さまざまな環境保全対策を
講じた農家に対して、対策の種類や規模などに応じて一定の交付金を支払うとい
うものである。本事業の対象となる保全対策には、包括的栄養分管理、規定され
た放牧管理、流水域の草地化や防風林の植林のような部分的な土壌保全対策など
が含まれる。本事業は、アイオワ州選出のハーキン上院議員(民主党)によって
提案された法案を今回新たに取り込んだものである。


一部の継続事業を増額

 第2に、96年農業法により新設された環境改善奨励事業(EQIP)について、同
法に規定された年間2億ドル(212億円)の予算を、3億2千5百万ドル(約345
億円)に増額するよう提案している。本事業は、土壌、水質、その他の自然資源
を保全するため、農家に対して、技術支援、財政支援および教育支援を行うもの
で、法律に基づき、予算総額の半分以上は畜産に関連する環境対策に用いられる
こととなっている。本事業の対象となる対策には、家畜ふん尿管理、統合的病害
虫管理、家畜排水の改善などが含まれる。

 第3に、湿地保全事業(WRP)の対象農地について、96年農業法に規定された上
限を撤廃し、2001年度は過年度未消化分の4万エーカー(1.6万ヘクタール)を含
め25万エーカー(10万ヘクタール)に拡大するとともに、その後も毎年25万エー
カーを対象に加えるという提案である。本事業は、湿地の保全・回復を図る農家
に対して、技術支援および財政支援を行うものである。

 第4に、土壌保全留保事業(CRP)の対象農地面積について、96年農業法により
規定された3,640万エーカー(1,470万ヘクタール)の上限を4千万エーカー
(1,620万ヘクタール)に拡大するという提案である。また、CRPへの継続加入を
通じて農地を登録する農家に対して、2001年度および2002年度において、1億2千
5百万ドル(約133億円)のボーナスが支給されるよう提案している。

 さらに、その他の環境保全事業についても予算の増額が提案されている。

2001年度における主な環境対策事業
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 注1:予算要求額の(  )内は前年度予算額
  2:地役権とは、他人の土地を自分の便益のために利用する権利

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