◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、99/2000年度(99年7月〜2000 年6月)の輸出量は、85万2千トン(速報値)と過去最高を記録した前年度を3.7 %下回った。99/2000年度の牛肉生産は、内外からの高い需要のため、牛群の再 構築の動きがあるにもかかわらず、と畜頭数・生産量ともに前年並みの水準を維 持している。このような生産動向を背景に、最大の輸出市場である日本向けやそ れに次ぐ米国向けは輸出量を更新した。しかし、その一方で、国内消費の拡大や 新たな競争相手の出現などが、全体の輸出量増加に歯止めをかける要因となった。 ◇図 牛肉の輸出動向と為替の推移◇
輸出相手国別に見ると、韓国、カナダ、台湾などで前年度を大きく下回ってい るものの、日本と米国向けの増加により全体での水準の高さが維持されている。 その要因として、日本向けでは、円に対して豪ドルが安値で推移したことや、米 国産が米国内の需要を反映し高値であったことに加え、米ドル高がその輸出価格 を押し上げたことから、豪州産の競争力が増したと考えられる。さらに、フロー ズンのグラスフェッドが牛丼や焼き肉などの外食産業からの需要の高まりにより 好調だったことが挙げられる。米国向けでも、好景気を背景にグラスフェッドな どの加工向け牛肉の高い需要が挙げられる。一方、韓国、台湾向けでは、米国や 南米産牛肉との競合により、前年を大幅に下回る結果となった。 ◇図 牛肉の輸出先別割合(99/2000年度)◇
MLAによると、2000/01年度の牛肉輸出動向は、アジアを中心とした経済成 長による高い需要とそれに対する供給不足から、今年度並みで推移すると予測し ている。2001年1月からの韓国市場の自由化、中国、台湾の関税引き下げなども 明るい見通しの要因となっている。また、国内消費もオリンピック開催や景気拡 大により伸びることが予測され、生産量に占める輸出向け牛肉の割合が減少する ことも考えられる。一方、南米産牛肉が強い競争力を持っていることを挙げ、豪 ドルの動向によっては直接的な影響が表われることも予測している。
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