◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年上半期のブロイラー輸出量(可食処理ベ ース)は、前年同期比27.2%増の127万トンとなった。こうした大幅な増加は、 ロシア向けが29万9千トンと前年同期の3倍を超えたことによるところが大きい。 ロシアについては、昨年末に決定した援助輸出(2万6千トン)の大部分が年初に 船積みされたことに加え、その後も需要が回復していることから順調に輸出を伸 ばし、米国産ブロイラーの多くがロシアへ陸送されるバルト海諸国(ラトビアお よびエストニア)向けを含めると、上半期の輸出量は45万トンを超えるとみられ る。ただし、バルト海諸国向けは、ロシア当局が4月、自国と陸続きでない輸出 国に対して指定の港以外での荷下ろしを禁止したことから、5月以降減少している。 ◇図 上半期のブロイラー輸出量◇
ロシア以外の輸出先も、好景気による堅調な需要などを反映して軒並み前年水 準を上回った。このうち、香港向けは、前年同期比12.9%の31万8千トンとシェ ア1位を堅持し、中国向けは、今年3月の米中2国間合意で直接輸出が解禁された こともあり、前年同期比43%増の4万5千トンと飛躍的に増加した。昨年減少した 日本向けは前年同期比7.7%増の5万5千トンと増加に転じた。アジア地域では、 唯一フィリピン向けが、輸入増を懸念した業界からの要請を受けた同国政府の規 制強化により、1万1千トンと前年同期を8.3%下回った。また、北米地域では、 カナダ、メキシコ向けとも前年同期比35.2%増および17.7%増といずれも増加し た。
ロシアでは、7月1日から鶏肉製品に対する付加価値税が20%から10%へ、 また、関税率も8月15日以降、30%(またはkg当たり0.3ユーロ(30円:1ユ ーロ=100円)のいずれか高い方)から25%(またはkg当たり0.2ユーロ(20円)) へと相次いで引き下げられた。こうしたことから、ロシア向け輸出は今後、98 年8月のルーブル切り下げによる経済危機以前の水準まで回復するとの期待が高 まっている。また、中国など他の輸出先の需要も堅調であることから、USDAで は、2000年通年の輸出量は、前年比6.6%増の229万トンと3年ぶりに5%を超え る増加となり、2001年についても前年並みの水準を維持すると見込んでいる。 ◇図 ブロイラー輸出量の推移◇
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