豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2000/01年度の乳製品生産予測


一部を除き増加予測

 豪州農業資源経済局(ABARE)は、今年6月に行った四半期ごとの需給見通し
で、2000/01年度(99年7月〜2000年6月)の乳製品生産について、一部を除き前
年度より増加すると予測している。2000年初めに行われた予測よりも、全体では
若干の下方修正となるものの、99/2000年度の生乳生産・乳製品生産がいずれも
前年度比増と見込まれる中で、好調な乳製品輸出を背景に、引き続き強気の見通
しとなっている。

◇図 乳製品生産の動向◇


脱脂粉乳とチーズは4%台の増産

 増産が見込まれる乳製品の中でも、最も大きな伸びが予測されているのは、脱
脂粉乳である。2000/01年度の生産は、前年度比4.7%増の27万トンに拡大する
と予測されている。その要因としては、アフリカや中南米などの発展途上国から
の需要やEUの介入在庫が2000年に入って減少していることなどから、需要が短期
的に拡大することが挙げられる。その動きを反映し、2000/01年度の国際価格は、
前年度に比べ10%上昇すると予測している。

 チーズ生産も、2000年当初の予測よりも大幅に下方修正されたものの、前年度
比4.4%増の35万4千トンと予測している。これは、アジア経済の成長に伴い潜在
的な需要が拡大するとして、長期的にも大幅な生産増加を見込んでおり、2000/
01年度の国際価格も、前年度に比べ11%上昇すると予測している。

 バターについては、アジアや中東諸国からの需要の高まりを背景として、前年
比2.7%増の18万9千トンと予測している。一方、大きな輸出先であるロシアは、
経済動向によっては恒常的な輸出先となるかが疑問視されるとして、生産動向に
も影響を与えるとの見方をしている。さらに、ニュージーランドの生産増加やE
Uの介入在庫量が増えていることなども生産拡大を妨げる要因になると見ている。

 全粉乳については、主要乳製品がいずれも増加との見通しの中で16万3千トン
と前年度比3.0%減少するとしている。国際市場では、加工食品向けの原材料と
して、全粉乳需要は高く、2000/01年度の国際価格は5%上昇するとしているが、
内外からの需要が強く利幅の大きいチーズ生産への生乳配分が大きくなっている
ことが、生産減少予測の要因とみられる。


好調な生産動向も制度改革の影響が懸念材料

 脱脂粉乳をはじめとする乳製品は、高値で推移する国際市場価格に見られるよ
うに、一部を除いて、市場における需要は非常に高まっている。ABAREは、2000
/01年度の生乳生産についても増産を予測している。しかし、国内では酪農乳業
制度改革により生乳生産者価格が大幅に下落することが予想され、それが生乳生
産に及ぼす影響も明らかではない。豪州の乳業界がどのような道筋をたどるのか
注目したい。

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