◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年上半期の豚肉輸出量(枝肉重量ベース) は、前年同期比30.9%増の33万9千トンと大幅な増加となった。大規模な援助輸 出が実施されたロシア向けを除いても、10.7%増と大きく伸びている。このうち アジア市場では、最大の輸出先である日本向けが、米ドル高でデンマークやカナ ダに比べて不利となったものの、口蹄疫発生によりストップした韓国産豚肉の代 替需要があったことなどから、前年同期比13.7%増の14万トンとなり、香港など 他のアジア市場向けも好調な経済に伴う需要の拡大から総じて増加した。また、 メキシコ向けは、経済の回復や人口増による需要の拡大を反映して前年同期比86 .5%増の5万6千トンと2倍近いものとなった。 ◇図 豚肉の国別輸出量◇
一方、2000年上半期の豚肉輸入量(枝肉重量ベース)も前年同期比21%増の 22万トンと、前年水準を大きく上回った。輸入急増の要因としては、国内生産が 減少する一方、ばらやロインなどを中心に需要が堅調であったこと、米ドル高に より輸入豚肉に有利な環境であったことなどが挙げられる。このため、カナダが 前年同期比25.4%増の16万3千トン、前年は減少したデンマークも14.0%増の3万 7千トンと、主要国からの輸入はいずれも増加した。また、国内市場への主要な 供給源であるカナダからの生体豚の輸入を見ると、肥育豚は、カナダのと畜処理 能力の向上により前年同期比5.8%減の99万4千頭にとどまった。これに対し、子 豚は、繁殖基盤の縮小により米国内での生産頭数が減少する中、豊富で安価な穀 物を有する中西部などからの需要が高まったことから、前年同期比8.9%増の 109万頭と輸入の増加傾向が継続した。 ◇図 豚肉および生体豚輸入の伸び率◇
USDAによると、2000年通年の豚肉輸出量は、アジアなどからの需要が引き続 き旺盛であるため、前年比8.0%増の57万2千トンと98年並みの水準まで回復する とみられる。また、豚肉輸入量は国内の需給がタイトである上、輸出余力が高ま るカナダからの供給が増えることから、45万6千トンと前年を21.5%上回り、生 体豚についても370万頭と、前年より減るものの高水準を維持すると見込まれる。
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