米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○規模拡大が進む酪農生産構造


総戸数は10年で4割減

 米農務省(USDA)によると、2000年の酪農家戸数は、前年比5.2%減の10万5
千戸となった。酪農家戸数は、一貫して減少を続け、過去10年間で41.7%減少し
た。酪農家の多くは、依然として、近年生乳生産の比重が低下する伝統的酪農地
帯に分布している。第2の生乳生産州(全体の約16%)であるウィスコンシン州
を含む五大湖沿岸地域では、酪農家戸数の減少率は過去10年で39%と、全国平均
を下回っており、戸数シェアは91年の29.9%から2000年の31.4%へと逆に拡大し
た。一方、最大の生乳生産量(全体の約23%)を誇るカリフォルニア州の場合、
2000年における戸数シェアは、わずか2.4%にすぎなかった。

◇図:酪農家戸数と1戸当たり飼養頭数◇


規模拡大が進むも、半数は50頭未満層

 これに対し、1戸当たり飼養頭数は、経産牛頭数の減少程度が酪農家戸数に比
べて緩やかであることから毎年着実に増加し、2000年では87.7頭/戸となった。
しかし、経産牛の飼養規模別で見ると、全体の59.4%が50頭未満と、依然として
小規模酪農家が過半を占めている。また、1戸当たり飼養頭数は、地域により大
きな開きがあり、太平洋岸地域(アリゾナ、カリフォルニアおよびワシントン州)
が最も大きく、2000年の平均飼養頭数は504頭/戸であった。一方、五大湖沿岸
地域(ウィスコンシン、ミネソタおよびミシガン州)は、65頭/戸と全国平均を
下回っている。州別では、カリフォルニアの622頭/戸に対し、ウィスコンシン
が63頭/戸と、両者の格差は10倍近くに達した。


生乳生産は大規模層への集中が進展

 飼養規模の拡大に伴い、大規模酪農家の生乳生産シェアも高まっている。これ
は、規模の大きい経営ほど、機械化や最新技術の導入などによって合理的な生産
を行う上、濃厚飼料の多給などを通じて飼料効率を高める傾向が強いため、経産
牛1頭当たりの乳量が増加することによるものである。USDAのある報告によれば、
高所得を得ている酪農家における経産牛1頭当たりの乳量は、所得の低い経営に
比べて15%程度多いという。こうしたことから、93年に36.3%であった200頭以
上層の生乳生産シェアは、2000年には53.8%まで拡大する一方、全体の過半を占
める50頭未満層のシェアは、93年の17.3%から2000年には9.5%へと縮小した。
カリフォルニアの場合、2000年における200頭以上層の生乳生産シェアは97.0%
で、500頭以上層では全体の78.0%を占めた。

◇図:飼養規模別生乳生産シェア◇

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