EU農相理事会、EU委員会提案の牛肉価格対策を否決


提案をめぐり加盟国間で意見が対立

 ベルギーで2月26日に開催されたEU農相理事会において、EU委員会が提案した
7項目からなる牛肉価格対策についての協議が行われた。しかし、この提案をめ
ぐり加盟国間で意見が対立し、結局合意に至らないまま、理事会は混乱のうちに
終了した。

 EU委員会が提案した7項目からなる牛肉価格対策は、牛海綿状脳症(BSE)の影
響による牛肉消費の減退がもたらした、牛肉価格暴落に対処するための牛肉生産
抑制策が中心となっている。提案の概要は、以下の通り。

@オーガニック農業の振興

 耕種作物の生産者に対する直接支払い制度の要件であるセット・アサイド(休
耕地など)の対象として、オーガニック農家の飼料生産活用を含める。

A粗放的生産の振興

 特別奨励金および繁殖雌牛奨励金の交付要件となる飼養密度の上限を、飼料畑
1ヘクタール当たり2家畜単位(LU)以下から1.8LU以下に引き下げる。

B特別奨励金の交付限度頭数の設定

 加盟国の裁量で変更または設定しないことが可能であった農家1戸当たりの交
付上限頭数を90頭とする。

C特別買上計画(Special purchase scheme)の導入

 現行の30ヵ月齢以上の牛の牛肉廃棄計画に代わり、全頭のBSE検査を前提とし
て、廃棄だけでなく牛肉を保管する場合も対象とする新たな買上制度を導入する。

D個人別の奨励金受給権の導入

 過去の奨励金受給実績等を勘案し、個人別の奨励金受給権を導入するとともに、
全体枠を削減する。

E繁殖雌牛奨励金の交付要件の変更による生産抑制

 申請数に含めることができる未経産牛の割合を、20%以下から20%以上40%以
下に変更する。

F通常介入買上の限度数量の適用停止

 コスト高のセーフティーネット買上を回避するため、通常買上げの限度数量
(年間35万トン)を2001年および2002年については適用しない。


今後の協議は次回以降の農相理事会に持ち越し

 EU農相理事会では、この提案のうち、特に・の特別買上計画の導入をめぐって
加盟国間で意見が対立した。EU委員会は予算効率の観点から、現行の牛肉廃棄計
画の実施を強く加盟国に求めている。しかし、実際に同計画を実施しているのは、
フランス、アイルランドなど一部の加盟国に限られている。多数の牛をと畜し、
廃棄することに対しては、動物愛護の問題もあり、動物保護団体などから批判の
声が挙がっている。EU委員会は、同計画への取り組みを広げるため、対象を廃棄
だけでなく保管にも広げる提案を行ったものとみられる。フランス、スペイン、
アイルランドなどは、牛肉に対する消費者の信頼回復には、現行計画の維持とEU
規模での実施が必要であると主張し、強く反対した。

 このほか、通常介入買上の限度数量の適用停止でも意見の対立が見られるなど、
長時間にわたる協議でも一致点を見いだせず、最終的に7項目の提案は否決され
た。同提案は、特別農業委員会(SCA)に差し戻され、協議は次回以降の農相理
事会に持ち越されることとなる。

 なお、その他の事項については、・遺伝子組み換え(GM)作物を含む家畜飼
料の表示に関する規則の早期設定および・スクレイピーやBSEに関する羊のモニ
タリング強化について合意された。

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