OIE、アルゼンチンの口蹄疫衛生ステータスを一時留保


2月21日に現行の衛生ステータスを一時的に留保/font>

 アルゼンチンでは、2000年8月の口蹄疫問題以降、口蹄疫ワクチン不接種清浄
国としての衛生ステータスを維持するため、その防疫対策を強化してきた。

 しかしながら同国の家畜衛生当局は今年2月21日、同国が現在の衛生ステータ
スを維持するためには、リスク分析結果に基づき口蹄疫の感染と拡大のリスクを
最小限に抑え、自国と周辺国のリスク要因に変化が現れるまで新たな家畜防疫管
理システムを導入する必要があるとして、家畜衛生予防計画を作成し国際獣疫事
務局(OIE)に提出した。OIEでは、新たに提示された予防計画の内容が従来から
アルゼンチンが行っている口蹄疫撲滅対策の戦略変更であるとして、2000年5月
に同国が得た口蹄疫ワクチン不接種清浄国としての衛生ステータスを一時的に留
保することを決定した。


地域を5つのゾーンに分け、効果的な防疫対策

 新たな家畜衛生予防計画は、家畜移動に伴う追跡管理システムの強化、国内ゾ
ーニングと各ゾーンでの具体的な防疫対策を内容としている。基本的な考えは、
OIEの口蹄疫に関する規則にあるワクチン接種口蹄疫フリーゾーンを設置し、翻
ってワクチン不接種フリーゾーンを確保することで衛生ステータス留保に伴う影
響を最小限に抑えるというものである。

 同計画では、国内を「国境監視ゾーン」、「国境緩衝ゾーン」、「制限ゾーン」、
「監視ゾーン」、「ワクチン不接種フリーゾーン」の5ゾーンに分ける。国境監
視ゾーンでは、偶蹄類追跡管理システムにより家畜は全頭残らず識別され、識別
のできない家畜については血清サンプル抽出後直ちに殺処分される。制限ゾーン
は、国境緩衝ゾーンで生産される子牛の約9割を搬入する伝統的な肥育地帯で、
主にブエノスアイレス、コルドバ、ラパンパの各州の一部を含むパンパ肥育地域
の中心である。制限ゾーンと国境緩衝ゾーンは、ワクチン接種フリーゾーンの下
に置かれ、ワクチン接種が実施される。監視ゾーンは、ワクチン接種の対象地域
とそれ以外を区別する帯状のゾーンで、監視のためのチェックポイントが設置さ
れる。この措置で最大1,500万頭の牛にワクチン接種が必要といわれ、90年代、
ワクチン接種活動で活躍した生産者による財団組織の復活が決められた。なお、
今回のワクチン接種について、家畜衛生当局は国内の口蹄疫発生の事実は否定し
ていたが3月13日、ブエノスアイレス州西部で口蹄疫に感染したとみられる家畜
を確認したと発表した。

◇家畜衛生予防計画に基づく防疫ゾーン◇
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牛肉等輸出相手国に対し家畜衛生予防計画の理解を求める

 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(セナサ)の総裁、副総裁は今回の予防計画
説明のために2月の下旬にNAFTA、メルコスル諸国を行脚している。本音はワク
チン接種を認め、かつ輸入に制限をかけないという了解を取り付けたいところに
あるようだ。

 ブラジルは2月21日以降、アルゼンチンからの生体牛、骨付き生鮮肉、精液や
受精卵などの輸入を禁止し、輸入を骨なし生鮮肉と摂氏72度以上で処理した加工
肉に制限した。この輸入規制はアルゼンチン政府との協議の結果であり、OIEが
最終判断を下すまでといわれている。

 また、最終的には現地調査によるとしながらも米国、カナダはアルゼンチンが
予防計画の措置を取った後も現行の衛生規制にのっとり輸入を継続するとしてい
た。しかしながら、セナサは3月12日、米国、カナダ、チリなど主要輸入国向け
の牛肉等の輸出を一時的に中止した。

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