拡大するブラジルの口蹄疫清浄地域


農務省が2000年12月、新たな口蹄疫ワクチン接種清浄地域を発表

 ブラジル農務省は近年、同国における口蹄疫撲滅計画を強力に推進しているが、
2000年12月28日、省令により新たな口蹄疫ワクチン接種清浄地域を発表した。こ
の省令では、23ヵ月以上にわたり口蹄疫発生の記録がないとして、リオデジャネ
イロ州、エスピリトサント州、バイア州、セルジッペ州、トカンチンス州、マッ
トグロッソドスル州の全域、また、ミナスジェライス州の東部、マットグロッソ
州などの一部の地域に設けられていた準清浄地域(非清浄地域と清浄地域を分離
するための一種の緩衝地帯)をワクチン接種清浄地域とすると規定した。また、
バイア州およびトカンチンス州の一部の地域に準清浄地域を設けることやロンド
ニア州およびパラ州の南部を準清浄地域とすることが定められた。

◇ブラジル農務省が定める口蹄疫ステータスの状況◇
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OIEでの認定は今年5月の見込み

 国際的な衛生ステータスについては、今年5月の国際獣疫事務局(OIE)総会で
認定の是非が決定される。

 ブラジルは、これまでのOIE総会で98年に南部2州(リオグランデドスル州、サ
ンタカタリナ州)が、2000年に南部・中西部の1連邦区と5州(ブラジリア連邦区、
ゴイアス州、サンパウロ州、マットグロッソ州、ミナスジェライス州、パラナ州)
がワクチン接種清浄地域として認定された。ただし、リオグランデドスル州は昨
年8月の口蹄疫発生により、同衛生ステータスは留保されている。


清浄地域拡大に伴い国内で牛などの移動制限が緩和

 ブラジル農務省の衛生当局によると、同国では、非清浄地域(準清浄地域を含
む)から清浄地域への生きた牛や骨付き牛肉の移動は原則的に禁止されている。
しかし、2000年12月28日にワクチン接種清浄地域が拡大されたことから、ブラジ
ル農務省は今年2月12日、同地域から、99年末にワクチン接種清浄地域として発
表された南部・中西部の1連邦区と5州(一部の地域を除く。)への、直ちにと畜
される牛と骨付き牛肉の移動を条件付きで認める決定を下した。骨付き牛肉につ
いては、連邦検査が実施されている食肉処理加工施設由来のものに限られる。な
お、骨なし牛肉については、従来から移動が認められている。

 こうした措置の実施による国内市場への影響として、これまで非清浄地域であ
った州では、消費市場への販路拡大から生体牛・牛肉価格の上昇が期待される一
方、大消費地を抱えるサンパウロ州などでは、供給増から価格の低下が予想され
ている。また、海外市場における影響として、中期的にはブラジル産牛肉の輸出
拡大につながるものとみられている。

 ブラジル農務省プラチニデモラエス農相によると、同国では95年から2000年の
間に、口蹄疫撲滅費として官民合わせ9億4,300万ドル(約1,103億円:1ドル=
117円)もの資金が投じられたとされ、今後は、さらにワクチン接種清浄地域を
北東部および北部へと拡大し、2005年までに同国が口蹄疫清浄国として認定され
ることを目指しているとしている。

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