豪州クインズランド州の穀物肥育牛頭数が大幅減


拡大基調の中、QLD州では素牛需給ひっ迫

 豪州フィードロット協会(ALFA)は、2000年12月時点の全国フィードロット
飼養頭数調査の結果を発表した。これによると、総飼養頭数は60万8千頭で9月の
調査時よりも5.5%の減少となった。州別内訳は下表のとおりであり、クインズ
ランド(QLD)州19%減、ニューサウスウェールズ(NSW)州が2.9%増、ビクト
リア(VIC)州23.8%増、南オーストラリア(SA)州8.1%減、西オーストラリア
(WA)州は135.9%増となった。ただし、99年12月と比べると全体では増加して
おり、フィードロット業界が引き続き拡大基調にあることが示されている。

 注目すべきはフィードロットによる肉牛生産の中心であるQLD州の飼養頭数が
前回調査比で大幅に減少していることである。市場からの需要が強いだけに飼養
頭数増加が期待されていたが、同州の肥育素牛需給がひっ迫している現状を裏付
ける結果となった。


QLD州の大幅減には、さまざまな要因

 QLD州では、雨季に道路閉鎖などで素牛が集めにくくなることや、年明けに肥
育牛需要が減少することもあって年末年始に操業を一次停止すると畜場が多く、
このため、12月の飼養頭数は通常9月よりも減少する傾向にある。

 昨年はこれらの季節的な要因に加えて、東南アジア向け生体牛輸出の回復によ
って肥育素牛の需給が大幅にひっ迫したこと、これに伴う素牛価格の高騰がフィ
ードロット経営者の導入意欲を後退させたことが影響を及ぼしたとみられる。

 また、昨年はQLD州の穀倉地帯であるダーリングダウン地方が年間を通じて厳
しい干ばつに見舞われる一方、隣接するNSW州北部では穀物収穫時の11月に記録
的な洪水に見舞われたことから、フィードロット経営に不可欠な飼料穀物が大幅
に不足したことも影響を及ぼしたとみられる。


仕向け先は日本向けが減少、国内向けは増加傾向

 フィードロットからの仕向け先を見ると、日本向けが56.9%と依然として圧倒
的であるが、そのシェアは徐々に低下しており(99年12月:62%、2000年9月:
59.5%)、仕向け先の多様化が進んでいる。特に国内向けのシェアは確実に伸び
ており、今回の調査では36.2%に達した。国内向けは日本向けに比べて肥育期間
が短く(90日前後)、導入・出荷の回転が早いため、出荷頭数では既に日本向け
を上回っている可能性もある。

 フィードロット業界は豪ドル安に伴う輸出拡大を背景に発展を続けているもの
の、国内経済にやや陰りが見えてきたこともあって、今年もこの発展を持続でき
るかどうか注目されている。

豪州の州別フィードロット飼養頭数
feedlot.gif (10254 バイト)
 資料:ALFA「National Feedlot Survey」

元のページに戻る