カナダ、肉牛個体識別制度を実施


耳標による個体の識別

 カナダでは今年初めから、家畜衛生や食品安全性の問題に備えるため、肉牛の
個体識別制度が実施に移された。この制度の実施機関は非営利団体であるカナダ
肉牛個体識別エージェンシー(CCIA)で、カナダ肉牛生産者協会(CCA)、カ
ナダ畜産マーケティング協会、カナダ獣医学協会などの関連団体から構成される 
ボードメンバーによって運営される。

 この制度は、カナダ家畜衛生法の家畜衛生規則に基づくもので、牛が生産され
た農家(farm of origin)から出荷される前にCCIAが承認した耳標を装着するこ
とが義務付けられる。耳標には個体識別番号およびそのバーコード、国別コード
およびCCIAのロゴなどが記載されるが、牛群の番号は付されない。輸入された肥
育素牛については、最初の肥育場所において直ちに耳標を装着することが義務付
けられる。


枝肉検査時まで維持される情報

 耳標は、CCIAの承認を受けたサービスセンターなどから配付され、サービス
センターでこの配付情報が記録されることとなっており、生産者には記録の義務
は課されない。この耳標による情報は牛がと畜場へ出荷され、枝肉検査を行う時
点まで維持され、牛に家畜衛生または食品安全性上の問題が生じた際には、カナ
ダ食品検査局(CFIA)がCCIAのデータにアクセスし、当該牛の出荷元を特定し、
直ちに必要な措置を講じることとされている。

 CCIAは、出荷元が特定された場合でも、その賠償責任は従来と同様で、制度
の有無にかかわりがないことを強調している。


牛肉・酪農部門が共同で戦略策定、酪農が先行実施

 カナダでは、酪農と牛肉業界が共同で家畜の個体識別制度の戦略を策定し、牛
肉部門についてはCCIAが、酪農部門については全国家畜個体識別(NLID:
National Livestock Identification)が実施主体となっている。酪農部門につ
いては、95年から牛肉部門に先行して、個体識別プログラムを実施しており、現在
までに40万頭を超える乳牛用に耳標が配付されている。

 肉牛部門については、97年8月にCCAが、全国的な個体識別に取り組む方針
(Business Plan)を決定し、以降その包括的かつ効率的な実現に向けて検討を
重ねていた。なお、ケベック州については、独自の個体識別プログラムを定め、
CCIAやNLIDと協調しながら実施をしている。

 この制度の実施スケジュールについては、今年1月1日以降、生産農家での出荷
前までの耳標装着義務付け、7月1日以降が生産農家から既に移動されている牛へ
の耳標装着およびと畜場での耳標の読み取りと枝肉検査時点までの個体識別情報
の維持が義務付けられることとなっている。なお、これらの履行義務違反に係る
罰金は、2002年7月1日以降に課せられるが、耳標が脱落してしまう可能性も考慮
して、全耳標装着数の5%以下の紛失に関しては、罰金の対象外とされるものと
みられる。

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