豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肉牛価格の高騰が肉牛専業経営に影響


99/2000年度の経営収支は赤字 2000/01年度は黒字の予測

 豪州農業資源経済局(ABARE)によると、99/2000年度(7〜6月)の肉牛専
業経営の経営収支は、マイナス4,400豪ドル(マイナス約28万円:1豪ドル=63
円)(速報値)と11年連続で赤字経営になった。これに対して2000/01年度の経
営収支は、9,100豪ドル(約57万円)の黒字に転じる見通しとなった。

 なお、この調査は、農業生産施設評価額2万2,500豪ドル以上のサンプル肉牛
専業農家336戸に対して聞き取りを行ったものである。

◇図:経営収支の推移◇


高値の素牛購入費が経営を圧迫

 2000年6月に発表された前回調査では、99/2000年度の経営収支を黒字と予測
していた。今回の調査が前回調査と異なる結果となった要因としては、99/2000
年度の肉牛の生産者販売価格は比較的高い水準となり、肉牛販売収入は増加した
ものの、素牛購入費用がそれを上回る増加率となったことが挙げられる。このた
め、経営収支は赤字となった。

◇図:肉牛価格の推移◇


肉牛販売収入の増加の一方で、素牛購入費の減少を予測

 一方、2000/01年度の経営収支は、黒字と予測されている。ABAREでは、2000
/01年度の肉牛価格は前年度比9.0%上昇すると見込んでおり、肉牛販売による収
入の大幅な増加が予測される。これに対して業界では、燃料や肥料、労働費など
の現金支出が増加するものの、素牛購入費用については素牛価格の高騰により素

牛の購入を控えるため、99/2000年度を境に減少すると見込んでいる。このため、
2000/01年度の肉牛専業経営は、現金収支で前年度を上回り、経営収支も黒字に
なるとの予測になった。

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、と畜頭数の増加や日本や米国の
需要が緩和したこと、為替市場の豪ドルの安値傾向に歯止めがかかっていること
を要因に、5月中旬には肉牛価格の上昇も落ち着きを見せたとしている。しかし、
前年同期と比較すると20〜40%高の高値をつけていることから、肉牛経営にとっ
ての好況は続くものとみられる。

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