NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○酪農場価格の低下傾向の中、規模拡大と新規参入の機会が拡大


4年連続で低下する酪農場価格

 ニュージーランド(NZ)の家畜改良公社(LIC)によると、99年6月時点の酪
農場平均価格(酪農経営に係る土地のみの平均価格)は、前年比2.9%安の1ヘ
クタール当たり10,759NZドル(約56万円:1NZドル=52円)と4年連続で前年
を下回ることとなった。NZの酪農場平均価格は、95年にはアジア向けを中心と
した乳製品の輸出拡大に支えられ、生産者乳価が高水準で推移し、酪農の収益性
が向上したことを背景に88年の2倍以上の上昇を見せていた。しかし、酪農場価
格の上昇は酪農家が規模拡大を図るに当たって経営を圧迫する要因ともなるため、
価格が上昇するのに従い酪農場売買件数は減少傾向を見せている。

◇図:酪農場価格と生産者乳価の推移◇

◇図:酪農場売買件数の推移◇


規模拡大と新規参入の機会が広がる

 NZでは、低コスト生産を目指して酪農経営の規模拡大を図る傾向が続いており、
その傾向は特に南島で顕著になっている。これまでは比較的高い水準で推移して
きた酪農場価格が、酪農への新規参入を難しいものにしてきた。また、新規参入
が抑制されてきたため、酪農場の売買件数が増加せず、北島南島ともに既存の酪
農家による規模拡大が続いてきた。しかし、今後は南島の酪農場価格が北島より
も比較的安いことに加え、NZ・デイリーグループ(NZDG)による南島への新規
参入規制もなくなったことから、南島では経営規模が続くとともに、新規参入す
る酪農家も増えるとみられる。同時に、現在の好調な乳製品輸出により生産者乳
価が大きく上昇することが予測されることから、NZ全土の酪農家にとって規模拡
大の機会が広がると言える。

◇図:酪農家1戸当たりの経営規模の推移◇


南島での農場売買の動きが活発化

 ここ数年は酪農場価格の低下傾向が示されてきたが、報道によると、2001年第
1四半期の農場価格は、前年同期の46%高になっていると伝えられている。同時
期の農場売買件数は265件で、前年同期の207件と比べても大きく増加している。
これらの農場売買の多くは南島で行われており、その使用目的は酪農経営への転
向がほとんどであるとしている。

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