米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肥育豚価格が急騰


1カ月で7ドルの上昇

 米農務省(USDA)によると、2001年3月の肥育豚価格(生体重換算、全米平
均取引価格)は、前年同月比11.4%高の48.5ドル/100ポンド(133円/kg:1ドル
=125円)となった。肥育豚価格は99年8月以降、と畜減などを反映して前年水準
を上回り、2000年秋以降は40ドル前後で安定的に推移していた。しかし、3月は、
前月の41.5ドル(114円/kg)から一気に値を上げ、7ヵ月ぶりに40ドル台後半と
なった。(左図参照)

供給減に伴う需給の引き締まりが主因

 価格の急騰は、寒波に伴う供給減によるところが大きい。豚肉生産量は2月以降、
降雪などの悪天候で肥育豚の出荷が滞ったことなどから、前年より5%程度減少し
た。一方、豚肉の需要は堅調であるため需給が引き締まり、例年、春に向けて積
み増される冷凍豚肉在庫は、2月末現在で16年ぶりに前月より減少することとなっ
た。

◇図:冷凍豚肉在庫の推移◇


EUの口蹄疫発生も価格上昇に影響

 さらに、EUにおける口蹄疫問題も価格の上昇に影響を与えた。米国は3月13日、
イギリスなどでの口蹄疫発生に対し、EU産豚肉の輸入を全面的に禁止すると発表
した。EUの中で最も多いデンマーク産豚肉でも年間輸入量が国内生産量の1%に
も満たないため、この措置が国内の需給に与える影響は小さいとみられる。むし
ろ、米国産豚肉の最大の輸出先で、デンマークからの輸入が総輸入量の3割を占
める日本が3月23日、EU産豚肉輸入の一時停止を決定したことから、日本市場に
おいて、代替需要が急増するという期待が業界の間で高まり、シカゴの先物市場
が高騰するなど、相場の上昇要因となった。


増産見込みで今後は値下がりへ

 供給面での今後の見通しについては、USDAの3月1日現在における飼養動向調
査結果から明らかなように、肥育豚、繁殖豚がともに前年より増えていること、
生産者の増産意欲がおう盛であることなどから、豚肉生産は、4月以降前年を上
回って推移するとみられる。一方、需要面では、国内市場は、高価な牛肉からの
シフトが進み堅調に推移すると見込まれるものの、日本からの代替需要は、日本
国内の在庫が潤沢であるため、短期的には増加しないとUSDAでは分析している。
こうしたことから、肥育豚価格は、口蹄疫問題による影響がどの程度のものにな
るかによるが、今後は供給増に伴い低下していくとみられる。

豚の飼養動向(2001年3月1日現在)
po-us06.gif (5721 バイト)
 資料:USDA/NASS「Hogs and Pigs」
 注1:肥育用、繁殖用ともに雌雄の計
  2:前年比は、2001年3月1日現在/2000年3月1日現在の
    比、前回比は、2001年3月1日現在/2000年12月1日
    現在の比

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