アルゼンチンの2000年牛肉輸出量は前年比でわずかに増加


2000年牛肉輸出量は前年比2%増

 農牧水産食糧庁の発表によると、アルゼンチンにおける2000年の牛肉輸出量
(推計値)は約35万トン(枝肉ベース)で、前年(34万2千トン)を2%上回っ
た。2000年におけるアルゼンチンの牛肉輸出をめぐる状況は、2000年8月以降、
口蹄疫問題による米国、カナダ、台湾市場の一時閉鎖、さらに同年10月以降、EU
での牛海綿状脳症(BSE)問題でEUの牛肉消費が急速に減少し、EU向け高級牛肉
ヒルトン枠へ影響が見られるなど厳しい環境となった。しかしながら、2000年を
通しての輸出量は前年と比較して大きな変化は見られなかった。

 なお、アルゼンチンにおける2000年の牛と畜頭数(推計値)は1,222万頭(前年
比0.7%増)、枝肉生産量(推計値)は263万トン(前年比0.9%減)となった。と
畜頭数が増加したものの生産量が減少したのは、平均と体重量が99年の223kgか
ら2000年に220kgに落ちたためである。


EU向け高級肉ヒルトン枠の輸出量はやや減少

 農畜産品衛生事業団(セナサ)によると、EU向け高級牛肉ヒルトン枠における
輸出量、輸出額、輸出単価(以下製品ベース、FOB価格)は、99年が27,611トン、
2億1,578万ドル(約269億7,250万円:1ドル=125円)、7.8ドル(約975円)/s。
2000年は26,034トン、1億8,849万ドル(約235億6,125万円)、7.2ドル(約900円)
/sとなり、輸出量はやや減少した。これは、アルゼンチンにおけるヒルトン枠
の7〜8割を占めるドイツがBSE問題による需給ひっ迫を避けるため99年を上回
って輸入したこと、またオランダで輸入量が半減したものの、その他の輸入国が
99年を上回って輸入したことなどによる。しかしながら、輸出価格の低下は避け
られず、輸出単価は2000年11月が7.2ドル(約900円)/s、12月が6.2ドル(約775
円)/sと前年比でそれぞれ17%安、2001年1月が5.3ドル(約663円)/s、2月
が4.9ドル(約663円)/sドルと下落は著しい。


一般生鮮肉の輸出量はわずかに増加

 EU向け高級牛肉ヒルトン枠を除く一般生鮮肉の輸出量、輸出額、輸出単価は、
99年が13万2,271トン、3億1,450万ドル(約393億1,250万円)、2.4ドル(約300
円)/s。2000年は13万3,896トン、3億1,448万ドル(約393億1千万円)、2.3ド
ル(約288円)/sとなり、輸出量はわずかに増加(前年比1.2%増)し、輸出金
額はほぼ前年並みであった。

 輸出相手先別の状況は、次のとおりである。

@ 米国、カナダ、台湾では8月以降の輸入量を大幅に減らしたが、7月までの
 輸入量が多かったため米国を除き前年並みかそれ以上の輸入量だった。

A イスラエル、ブラジル、ドイツは8月以降もペースは衰えず、前年並みかそ
 れ以上の輸入量を保った。

B チリは8月以降徐々に輸入を増やしたが、前年同期の輸入量に追いつかずト
 ータルで減少した。

C ロシアとアルジェリアが新規市場として約1万トン弱輸入したことは、アル
 ゼンチンの輸出量の増加につながった。

 セナサによると、3月に入りアルゼンチンにおける口蹄疫の発生件数は増加を
続けており、また、NAFTA、台湾、チリに続きEU、ロシア市場を失い主要な輸出
市場がすべて閉鎖されていることから、アルゼンチンにおける2001年の牛肉輸出
見通しは厳しいものみられている。

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