鶏卵表示の全国基準策定(豪州・NZ)


採卵鶏の飼養形態を表示

 豪州およびニュージーランドの関係閣僚で構成される農業資源管理評議会(A
RMCANZ)は3月9日、鶏卵パッケージに、採卵鶏の飼養形態を表示する旨を決
定した。

 その内容は、現在流通している鶏卵のパッケージについて、採卵鶏の飼養形態
を@ケージ飼養A鶏舎飼養B放し飼いの3つに大別し、それを明記するというも
のでその詳細は次の8項目に整理される。

@適用範囲:小売される殻付き卵に限定(液卵は除く)、小売用パック(収縮包
 装とキートレイ包装を含む)

Aラベル位置:飼養形態を表示しているラベルは、棚に並べられた場合、消費者
 から見える面に示されなくてはならない。

B飼養形態を示す用語:@の摘要範囲で示した鶏卵には飼養形態を示す次の用語
 を使用しなくてはならない。

 ア Cage eggs(ケージ卵)
 イ Barn Laid eggs(舎飼卵)
 ウ Free range eggs(放し飼い卵)

C印刷活字:飼養形態を示すラベルに使用されるフォントは高さ6ミリ以上

D文字スタイル:Helvetica,Arialなどのフォントで、文字と背景の色に明瞭なコ
 ントラストを付けなければならない

E生産システムの定義:動物愛護に基づく鶏卵生産システムの実施規約をカート
 ンに表示

F生産形式:菜食、有機の表示など

G販売基準:差別化商品の販売促進やブランドの使用は、この全国基準に則して
 行わなければならない。


虚偽表示防止と動物愛護の認知が主な目的

 この決定がなされた背景には、鶏卵に対し、採卵鶏の飼養形態の一律表示を行
うことで、虚偽表示防止および動物愛護の認知と消費者の興味を引き付けること
がある。また、将来的に実行される鶏卵品質保証プログラムの一部として、ラベ
ル表示を早期に定着させる意図があると思われる。さらに、今後ラベル表示の適
正実施について第三者機関の検査が予定されている。

 豪州鶏卵産業協会(AEIA)のヒュー会長は、ラベル変更に要する経費として、
消費者がカートン当たり1〜2豪セント(約0.6〜1.3円:1豪ドル=63円)を負
担する形になるが、消費者自身が購入する鶏卵の生産方法を熟知でき、結果とし
て利益を得られることとなるだろうと述べている。


当面は生産者の自主的対応、将来的には義務化

 AEIAによると、豪州の鶏卵生産は、生産者数506戸、採卵鶏1,300万羽、年間
採卵数35億4千万個、年間生産量15万5千トン、生産額2億7,400万豪ドル(約
172億2,400万円)となっている。生産額を州別に見ると、ニューサウスウェー
ルズ(NSW)州が1億2,300万豪ドル(構成比44.7%)、ビクトリア州が5,800万
豪ドル(同21.0%)クインズランド州3,800万豪ドル(同13.3%)とNSW州が全
体の約半数となっている。また、飼養形態別の生産高比率は、ケージ飼いが約
92%、舎飼いが、約2.5%、放し飼いが約5.5%、となっている。また、生産者数
で見ると放し飼いを行っている生産者が250戸で、全豪生産者数の約半数となる。

 ARMCANZは、昨年8月に採卵鶏のケージ飼養のケージ規格等について検討を
行ったことで記憶に新しい(「海外駐在員情報」平成12年9月5日号(通巻第4
51号)参照)。これらの決定事項については、当面生産者の自主的対応とする
ものの、今年8月のARMCANZ会議で義務化について最終決定を行った後、正式
実施される見込みである。

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