米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○好調な牛肉需要に転機の兆し


高水準が続くフィードロット飼養頭数

 米農務省(USDA)によれば、2001年9月1日現在の1,000頭規模以
上のフィードロットでの飼養頭数は1,087万頭と対前年同月比で5%増とな
り、記録的な高水準が維持されている。フィードロットへの導入頭数は、5月が
対前年同月比3%増、6月が同18%増、7月が同4%増と、それぞれ増加して
いた。この背景には、干ばつの影響でフィードロットへの出荷が進んだことが挙
げられ、後継牛として保留されるべき多くの未経産牛が含まれていたことは、将
来の生産基盤の縮小要因として懸念されている。ただし8月の導入頭数は、22
0万頭と対前年同月比で10%減となっており、USDAは、干ばつによる出荷への
影響が終息したものとみている。


弱含みの肥育牛価格

 一方、肥育牛価格(去勢牛、チョイス級、生体重量1,100〜1,300ポ
ンド(約500〜590kg)、ネブラスカ州)は、3月以降下落傾向で推移し、
第3四半期も下落に歯止めがかからなかった。例年夏場は、需要の落込みにより
価格は低迷するものの、9月以降は年末にかけて強含みとなることが通例である
が、今年は、牛肉より20%以上価格の安い豚肉やブロイラーの供給が潤沢なこ
ともあり、9月の肥育牛価格は100ポンド当たり68.90ドル(約182円
/kg:1ドル=120円)と前月を下回り、弱含みの相場で推移している。


今後の見通し

 フィードロット飼養頭数は高水準を維持しているものの、2001年1月から
9月までの牛肉生産量は前年同期比4%減の880万4千トンとなっている。こ
れは天候不順により牛の体重があまり増加しなかったことで平均枝肉重量が減少
したことおよびフィードロットの肥育期間が延びたことにより出荷が遅れている
ことによる。このようなことから米農務省(USDA)は、2001年の牛肉生産量
を過去最高となった2000年に対し3%減の1,170万1千トンと予測して
いる。

 需要面に関して米農務省(USDA)は、これまでは好調な景気が購買意欲を高め
ていたものの、景気には春以降減速が見られ、9月に入りさらに悪化していると
し、加えて9月11日に発生した米国の同時多発テロ事件がすでに減速をはじめ
た経済に影響を与え、今後の畜産物価格にも波及する可能性があるとしている。
今後の動向が注目されるところである。

◇図:タイプ別と畜頭数の増減率◇

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