米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○高値が続く乳製品価格


好調な乳製品需要を背景に乳価は堅調

 米農務省(USDA)が先ごろ発表した月例報告によれば、生乳生産量は今年に入
り前年を下回って推移し、8月も前年同月比0.8%減の620万6千トンとな
っている。一方、生産者受取り乳価は、乳製品価格の高値を反映して2001年
の後半は前年同期と比べて4ドル/100ポンド(約11円/kg:1ドル=12
0円)高程度での推移が予想されており、通年では、1998年に記録した15
.5ドル/100ポンド(約41円/kg)を更新するものと見込まれている。

 品目別に乳製品価格の動向をみると、チーズ価格は、生乳生産量の減少と通常
の在庫量の中で、2000年に引き続き消費量が安定的(前年上半期比2%増。
製品ベース)に伸びているため、平均卸売価格は2001年2月以降上昇し続け、
9月においても対前年同月比30.4%高の173.9セント/ポンド(約460
円/kg)となった。

 チーズと違い、9月は通常であれば、乳脂肪製品の余剰による生産増などから
下落傾向が見られるが、2000年10月から前年同月を上回って推移している
バター価格は、本年9月の平均卸売価格が前年同月比75.3%高の205.3セ
ント/ポンド(約543円/kg)となった。

 一方、脱脂粉乳の価格は、90年代前半、消費者の低脂肪志向の高まりから、
価格も上昇したものの、90年代後半は脱脂粉乳などの代替として、安価な濃縮
乳たんぱくの輸入が急増したことなどから価格も落着き、2001年は100セ
ント/ポンド(約265円/kg)程度で推移している。このため9月も前年同月
比3.9%安の97.1セント/ポンド(約257円/kg)となった。季節的に
は、在庫は多くない時期であるが、需要を超える生産が続いており、在庫が増加
している。加えて輸出価格も低迷しており、価格上昇の好材料が見当たらない状
況である。

◇図:乳製品の卸売価格◇


価格は今後も強含み

 乳製品市場はこの先11月くらいまでは、クリスマスシーズン向けの需要で、
ひっ迫すると見込まれる。しかしながら、今年の年末需要は近年よりは低迷する
と見込まれており、非常に早いクリスマス向けの手当てが行われたことから、卸
売価格は、早めに年間の最高値を記録したあと年末に近づくにつれ、徐々に価格
の低下が起こることが予想される。また、2002年については生乳生産の大幅
な伸びが乳製品の価格を下落させるとしているものの、需要は、景気後退の進展
度合いによっては、2002年も堅調となる可能性があると予測している。一方、
米国商務省は今年第2四半期(4〜6月)の実質国内総生産(GDP)成長率は、
前期比年率換算で0.2%と、ほぼゼロ成長となったと発表した。しかし、個人
消費の方は前期比年率換算2.5%の成長となり相変わらず堅調なことから、来
年も同じ傾向を示すとのアナリストもおり、乳製品の需給面からも米国の経済動
向が注目される。

◇図:主要乳製品消費量◇

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