イギリス、新たな家畜移動に関する制度を実施


清浄化度合いにより、郡単位を3つに区分

 口蹄疫(FMD)の発生から8ヵ月が経過したイギリスでは、今もFMDの発生が散
発しているものの、1週間当たりの発生数は1件にまで減少しており、発生地域
も限られてきている。こうした中、イギリス環境・食料・農村地域省は10月1日、
家畜移動に関する新たな制度の導入を実施した。この制度は、現行のFMD発生農
場を起点とした、感染区域、危険区域、暫定清浄地域をFMD清浄化の度合いによ
り郡を単位として、以下の3つに再区分するというものである。

1.FMD清浄郡(FC)

・3ヵ月間、FMDの発生がない
・FMD発生農場から10キロメートル以内の家畜の血清学的検査が終了(検査の結
 果、陽性となった家畜はすべて処分済)
・FMD感染の可能性のある家畜(2月1〜23日の間に、他の地域から導入した羊
 等)について、すべて処分済みか血清学的検査の結果が陰性

2.FMD危険郡(ARC)

・30日間、FMDの発生がない
・FMD発生農場から、3キロメートル以内の家畜の血清学的検査が終了(検査の
 結果、陽性となった家畜はすべて処分済)
・FMD発生農場から、3〜10キロメートルの家畜の血清学的検査が未終了、また
 は、FMD感染の可能性のある家畜が未処分

3.FMDハイリスク郡(HRC)

・30日以内にFMDが発生
または、
・FMD発生農場から、10キロメートル以内の家畜の血清学的検査が未終了
・FMD感染の可能性のある家畜が未処分

 また、各区分間の家畜移動に関するルールは以下のとおりである。

各区分間の家畜移動に関するルール

 ※移動に際して、羊に関してはFMD
  感染の徴候が明確でないため、
  血液検査を実施

清浄地域からの輸出解禁も視野

 本制度は10月1日から完全に施行されており、施行以前にイングランド北部の
カンブリア周辺やイングランド西部など23の郡や市が、HRCとして既に認定され
ていた。同国では、例年、冬が本格化する前に、家畜の販売や移動が盛んに行わ
れており、この制度によって、FMD感染拡大の防止を図る一方で、家畜飼養者の
農業活動を円滑にすることを主な目的としている。また、将来的には清浄地域の
畜産物について、EUへの輸出解禁を狙ったものとも言える。

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