今に残るチーズ市: 

ゴーダチーズとエダムチーズ(オランダ)

ブラッセル駐在員事務所 山田 理、島森 宏夫


ひとくちメモ

 オランダの持つイメージを挙げると、真っ先に”風車”や”チューリップ”を
思い浮かべるが、ゴーダやエダムに代表されるチーズを生産するEU有数の酪農国
でもある。オランダのチーズ生産量は65万トン(99年)に上り、そのうちの7割
近くが輸出されている。現在は、チーズ生産のほとんどが衛生・品質管理の行き
届いた工場で生産され、また、流通形態も変化している。かつて、チーズ生産農
家と販売業者との取引の中心であった街のチーズ市は、徐々にその姿を消してい
った。当時を知る姿としては、取引状況を再現した観光ショーが夏場の一時期に
開催されており、多くの人々を集めている。

GOUDA(ゴーダ)
 オランダの代表的なチーズの原産地で、
チーズの名称の由来となったゴーダでは、
7〜8月の毎週木曜日に街の中央にあるマ
ルクト広場でチーズ市が再現される。正面
の建物は、1688年に建造されたチーズ計量
所で、現在は、チーズ博物館として利用さ
れている。
 ゴーダチーズ:オランダのチーズ生産量
の約6割を占める。99年の生産量は39万1
千トン。
 広場に面した市庁舎(1450年建造)のバルコニーから、チーズ市の開催が宣言
され、銅鑼(どら)と鐘が鳴らされる。その音と共に、生産者役と販売業者役
(白衣を着用)との間で取引光景が再現される。
 チーズ市の際には、チーズを販売する露
店が多く出店し、多数のお客でにぎわって
いる。

 

EDAM(エダム)

 牛乳から作られる球形のエダムチーズは、
ゴーダチーズと並ぶオランダの代表的なチ
ーズである。エダムでは、7〜8月の毎週
水曜日に、チーズ計量所(左端の建物)前
の広場でチーズ市が再現される。
 エダムチーズ:オランダのチーズ生産量
の約1割を占める。99年の生産量は7万7
千トン。

    
 販売業者(右)とチーズ生産者(左)は、
お互いの手を叩きあって価格交渉を行った。
握手となれば交渉は成立する。

    

    
 交渉が成立すると、そり型の運搬
具で計量所に運ばれる。

    
 大人たちに混ざって、地元の子供
たちもチーズ市の主役となる。

    
資料:オランダ政府観光局
 ゴーダは、オランダの首都アムステルダムから南約50km、エダムは北東約25
kmに位置している。いずれも、かつてはチーズの取引で大いに賑わったが、現
在は、輸送に使われた小さな運河が、その当時の光景を物語っているに過ぎない。

元のページに戻る