EU、Tボーンステーキの解禁に向け検討開始か



背根神経節を含むせき柱の人へのBSE感染リスクを諮問

 EUの科学運営委員会(SSC)は5月16日、背根神経節を含むせき柱について、人
への牛海綿状脳症(BSE)感染リスクの評価に関する見解(opinion)を採択した。

 現在、EUでは、12ヵ月齢超の牛の背根神経節を含むせき柱は、BSE感染の可能
性の高い特定危険部位(SRM)の1つとして、除去・廃棄することが義務付けられ
ている(哺乳動物由来たんぱくの反すう動物への給与禁止を早くから実施したイ
ギリスなどでは、SRMから除外されている)。したがって、多くの加盟国では、
ロースとヒレ肉をせき柱ごとカットしたTボーンステーキは、一部の輸入牛肉を
除き販売されていない。

 こうした状況の中、SSCは、現在までのBSE検査の結果などを勘案して、@背根
神経節のBSE感染可能性は低いとしたアイルランド食品安全機関の最近の定量分
析に対する評価、A背根神経節を含むせき柱のBSE感染リスクの評価、B12ヵ月
齢超の牛のせき柱をSRMとして扱うとした現在の月齢基準の緩和を妥当とする根
拠が見つかっているか、といった3つの項目について諮問されていた。


アイルランドにおける背根神経節のBSE感染は低リスク

 今回公表された見解では、@およびAに関して、アイルランド食品安全機関が
実施したリスク評価は科学的に妥当であると認めたものの、その分析結果につい
ては、あくまでもアイルランドのみに当てはまるもので、牛肉の消費パターンや
BSE発生率の違いから、他の加盟国に一般化して適用できないとしている。

 他の加盟国についての同様の評価には関係情報の収集が必要であるが、その一
部についてはすぐに入手することはできないとみている。

 また、このようなリスク評価に不可欠な要素として、潜伏期間中にいつからせ
き髄および背根神経節が感染性を持つかといった問題がある。検出可能なせき髄
の感染性は潜伏期間の最後の数ヵ月のみに認められると考えられている。しかし、
限られた頭数を用いた研究結果からは、臨床的な兆候が現れる数ヵ月前まで脊髄
の感染性はないと結論付けることはできないとし、合理的な最悪のケースの仮説
として、潜伏期間の後半から高い感染リスクを有すると考えられるとしている。

 Bに関しては、肉骨粉(MBM)の飼料利用が全面的に禁止された2001年1月以前
に生まれた牛については、12ヵ月齢超の牛のせき柱をSRMとして扱うとした現在
の月齢基準の引き上げを導き出せる調査結果またはBSE検査の結果はないとの見
解を明らかにした。

 MBMの飼料利用禁止措置以降に生まれた牛については、禁止措置が適正に実施
されていれば感染リスクは低いとした2001年1月の見解を再確認した。


各国にBSEリスク管理対策実施前後の人への暴露リスク評価を提言

 SSCは、各加盟国に対し、MBMの飼料利用全面禁止を含めたBSEリスク管理対策
が実施された前および後の期間における、人への暴露リスクに関する評価を実施
することを提言した。また、このような各国の評価を踏まえ、BSE感染リスクに
関する見解を再検討・更新したいとしている。

 EU委員会では、今回のSSCの見解により、MBMの飼料利用禁止措置以降に生まれ
た牛については、12ヵ月齢超のせき柱をSRMとする基準の緩和を各加盟国と協議
する可能性が開けるものとみている。



元のページに戻る