2001/02年の主要穀物の収穫状況調査を発表  ● ブラジル



主要穀物の推定生産量は前年をわずかに上回る見込み

 ブラジル農務省プラチニデモラエス農相は5月28日、国家食料供給公社(CONAB)
が5月12〜18日に実施した第5回生産状況調査の結果を発表した。これによると20
01/02年の主要穀物(油糧種子を含む13品種)の推定生産量は、前年の9,832万ト
ンをわずかに上回る9,852万トンとなっており、前回の調査で示されていた史上
初の1億トンを超える可能性は低くなった。なお、作付面積は3,967万haで前年の
3,757万haより約210万ha、5.6%増加すると推定している。

 CONABが行う第5回生産状況調査は、大豆および第1期作トウモロコシなどの主
要穀物の収穫がほぼ終了するとともに、冬期作物の作付動向が決定する時期に実
施されることから、当該農業年度の推定生産量を的確に把握するのに重要とされ
ている。

 前回調査の生産量約1億トンから約203万トン減少して9,852万トンとなった今
回の調査結果は、ブラジルの主要作物であるトウモロコシの生産減少見込みによ
るところが大きい。生産量は前年と比べて552万トン、13.3%減少して3,602万ト
ンになると推定され、前回調査より189万トンの減少が見込まれている。一方、
トウモロコシと並びブラジルの二大作物である大豆の生産量は史上最大の4,112
万トンと前年の3,722万トンを10.5%上回る増産と推定されている。


大豆との競合からトウモロコシの作付面積は大幅に減少

 大豆と第1期作(夏作)トウモロコシの作付時期は地域により多少の違いはあ
るものの、おおむね10〜11月頃であり、競合関係にある。第1期作トウモロコシ
の作付面積は、前年比10.1%減の949万haと減少しているが、これは種子の手配
時期である2001年6月の大豆価格が21.25レアル/kg(約1,020円、1レアル=48
円)、トウモロコシ価格が7.90レアル/kg(約379円)となったことから大豆有
利と判断した生産者の多くが大豆生産を選んだためとみられる。また、生産量は
前年比555万トン、15.8%減の2,967万トンと推定されている。これは面積の減少
に加え、第1期作の生育時期に当たる12月〜2月にかけて降雨不足による干ばつで
収穫量が減ったためである。主要生産州であるリオグランデドスル州では1ヘク
タール当たりの収量が前年の3.65kgから2.78kgに落ちた。前回調査では、第1期
作トウモロコシの供給量の低下が需給バランスを崩し、2002年のトウモロコシ価
格を上昇させるとの思惑から、第2期作(冬作)の作付面積は前年を約45万ha上
回る287万haとなり、前年を175万トン上回る806万トンの収穫になると予想され
た。特に作付面積の34%を占める最大の生産州パラナの1ヘクタール当たり収量
が前年の3.1トンから2.2トンに落ちたことにより前回調査に比べ131万トン減少
したことが主因とされる。

 しかし、第2期作の作付けおよび生育時期に当たる3〜4月にかけて降雨不足と
高温により、主要生産州であるパラナ、サンパウロ、マットグロッソドスル、マ
ットグロッソ、ゴイアス各州に被害をもたらしたため、前回調査より171万トン
下回る634万トンになるとされた。


供給不足の予測からトウモロコシ価格が上昇

 5月初めからの降雨により作物は順調に成長し始めたが、作付初期のダメージを
回復することはできず、大手調査会社はトウモロコシを150万トン輸入する必要が
あると予測している。この供給不足の予測はすでに価格に反映され始めており、
サンパウロにおける2001年5月のトウモロコシ卸売価格(CIF価格、以下同じ)は9
.42レアル/60kg(約452円)であったが、2002年5月末では14.50レアル/60kg
(約696円)、9月の先物取引では15.60レアル/60kg(約749円)と高値をつけて
いる。価格がある程度上昇すれば、トウモロコシより安価なソルガムや小麦の二
級品への代替が進み、価格上昇には歯止めがかかるが、価格が上昇をしている間、
トウモロコシを主要飼料とする養豚部門や養鶏部門の経営は、厳しいものとなり
そうである。



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