ＥＵの牛肉の需給動向

◇絵でみる需給動向◇

○BSE、口蹄疫の影響から回復の兆しを見せると畜頭数

● ● ● 2002年上半期のと畜頭数は前年同期比9.8％増 ● ● ●

　イギリス食肉家畜委員会（MLC）によると、スペイン、ルクセンブルク、ベルギ
ーを除くEU12ヵ国の2002年上半期のと畜頭数は、大幅な減少を記録した前年同期
と比べて9.8％増の1,133万6,200頭とかなりの増加となった。しかし、2000年の水
準には達していない。2001年のと畜頭数は、2000年末に再発した牛海綿状脳症（
BSE）問題により消費者の不安が増大したことにより需要が減少したこと、さらに
2001年2月に発生した口蹄疫の影響により感染牛のと畜や移動禁止措置などが取ら
れたことから、大幅に減少していた。

 2002年上半期の国別と畜頭数
                                （単位：千頭、％）

 資料：MLC
　 注：EU12カ国のと畜頭数は、各国の足しあげ

● ● ● 2000年と比べ、フランスはほぼ同水準、その他の主要国は届かず ● ● ●

　国別の動向を見ると、と畜頭数の最も多いフランスでは、2002年上半期は、前
年同期比8.5％増とかなりの伸びを示し、2000年上半期とほぼ同水準にまで回復し
ている。フランスの2001年のと畜頭数は、上半期には口蹄疫の発生により大きく
減少したものの、下半期に大幅に増加し、通年では前年比3.0％増となった。また、
オランダでは、口蹄疫発生の影響が深刻で、2002年上半期は前年同期比29.1％増
と大幅な増加となったが、2001年のと畜頭数が前年の3分の1程度にまで減少して
おり、2000年同期と比べると21.0％減と国別で最大の減少率を示し、回復には至
っていない。

　このほか、2000年上半期の水準にまで回復しているのは、オーストリア、デン
マーク、ポルトガルだけとなってる。

● ● ● イギリスでは去勢牛と子牛のと畜が増加 ● ● ●

　イギリスでは、2002年上半期のと畜頭数は、前年同期比7.0％増とかなりの増加
を示したものの、2000年の水準までは回復していない。

　イギリスにおける2002年1〜8月のと畜頭数をカテゴリー別にみると、去勢牛が
前年同期比12.7%増と目立って増加しており、特に、24カ月齢以上の去勢牛のと畜
が増えている。また、子牛のと畜も前年同期比11.6％増となっており、これらの
カテゴリーのと畜頭数が全体の増加率を押し上げていると言える。

　24ヵ月齢以上を中心とした去勢牛のと畜頭数が増加しているのは、消費の減少
を要因とした2001年の肉牛価格低迷により出荷が滞留していた牛が、2002年にな
って出荷、と畜されたものとみられる。また、子牛のと畜が進んでいるのは、需
要が強い子牛肉の生産が堅調に推移する中で、子牛価格が上昇していることを要
因としている。


 イギリスにおけると畜頭数
                            （単位：千頭、％）

 資料：MLC



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