イギリスにおいて輸入牛肉から脊髄を発見



ドイツから輸入されたものと判明

 牛の脊髄は牛海綿状脳症(BSE)感染性物質を最も含む部位の1つであると考え
られており、特定危険部位(SRM)に分類されている。また、EUにおいては、200
0年10月以降、全加盟国で食肉(飼料用および肥料用を含む)からの特定危険部位
(SRM)を除去し、着色後、処分することが義務付けられている。

 しかしながら、現段階においても、一部の牛肉(骨付き肉)について、SRMが含
まれている事例が散見されている。

 イギリス食品安全庁(FSA)によれば、イギリス国内での輸入牛肉の検査におい
て、ドイツから輸入された枝肉(四分体)の中から脊髄が9月16日に発見された。
これは、同日に実施された食肉衛生局(MHS)による立ち入り検査において、イギ
リス南岸のイーストボーンにあるADM(UK)社に運び込まれた冷凍牛肉の中の1つ
から確認されたものであり、この牛肉が、ドイツのオルデンブルグでと畜された
ことが判明している。また、畜産物の輸出入規則に基づき、脊髄を含んだ当該牛
肉は、廃棄のため、MHSの監視の下、保管されている。なお、同時に輸入されたこ
れ以外の牛肉については、MHSにより検査され、関係規則に合致していることが確
認されている。

 FSAは、食肉からのSRMの除去が不十分であったという今回の規則違反について、
ドイツ当局および欧州委員会に対し通知を行った。

他の国からの輸入牛肉(骨付き肉)についてもSRMが散見

 イギリスは、昨年1年間に40,474トンの骨付き肉を輸入しており、ドイツからの
ものが3,085トン(全体に占める割合7.6%、アイルランド(33,222トン、同82.1
%)に次ぐ第2位)であるが、ドイツから輸入された牛肉の中からSRMが発見され
たのは今回が11事例目である。また、この1年間では、昨年10月にオランダ、11月
にアイルランドおよびベルギー、12月にアイルランド、本年2月にオランダ、3月
にポーランドおよびドイツ、4月にスペイン、8月にドイツおよびフランスから輸
入された牛肉にそれぞれ脊髄が発見されており、その都度、FSAは発見した日・場
所、当該牛肉の輸出元(国名、と畜場等)、発見された量等について公表を行っ
ている。

イギリス産牛肉の安全性を非難する相手国に対し、生産者団体が反発

 イギリスの生産者団体は、と畜場が人間の健康を守ることを意図したEU規則に
反して脊髄除去を怠っていることは受け入れられるものではなく、これらの食品
の安全性確立のために、断固たる行動を取るべきであるとのコメントを発表して
いる。

 また、同団体は、一連の発見に関連し、フランス食品安全局(AFSSA)が、同国
のと畜場におけるBSE対策の不備を発表したことに言及し、「フランスは、一方で
不法にイギリス産牛肉の輸入禁止措置を取り続けている。フランスは、イギリス
産牛肉の安全性を非難することをやめるべきである。」と述べた。

 (なお、フランス政府は10月2日、AFSSAによる同国産牛肉は安全であるとの認
定を受け、当該禁止措置の解除を発表した。)


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