フォンテラ設立初年度の総括          ● N Z



フォンテラ、初年度決算は、5,000万NZドルの赤字

 ニュージーランド(NZ)最大の組合系酪農乳業会社フォンテラは9月12日、昨
年10月の設立以来初の年次総会を開催した。NZ酪農組合が統合により、世界屈指
のメガコープを作り出し、順風満帆の滑り出しに見えたが、乳製品国際市況の低
迷の影響を受けて、フォンテラ単体では5,000万NZドル(約30億円:1NZドル=60
円)(2001年10月〜2002年5月)の赤字となった。また、黒字計上している子会社
であるNZMPやNZミルクを合計したグループ全体でも、3,100万NZドル(約18億6千
万円)の赤字という厳しい結果となった。

 年次総会は、NZ全国7ヵ所の会場をテレビで結び開催された。株主委員会が提示
した経営戦略等の計画および予算のほか、役員、報酬等7項目の議題が審議され、
すべてが75%以上の賛同を得て議決された。

積極的な海外進出により、販売網の多様化が実現

 年次レポートによると、2001/02年度のグループ全体の総収入額は139億NZドル
(約8,340億円)、総資産額は118億NZドル(約7,080億円)、生産者への支払い乳
価は1キログラム当たり5.33NZドル(約320円)(乳固形分ベース)となった。フ
ォンテラによれば、統合による合併利益は当初見込額を大きく下回る結果となっ
た。事業面では、積極的に海外展開を行い、北米ではネスレ社との原料乳製品供
給に係る業務提携、デーリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ社との合弁事業の
開始、さらに、デーリー・アメリカ社との脱脂粉乳販売契約、豪州・NZでは出資
先子会社を統合して乳製品会社オーストララシアン・フード・ホールディングス
社の設立、EUではアロラフード社との合弁事業の開始、メキシコではラメサ、エ
グジナ社の買収によるチーズ事業の開始と、まさに世界を股にかけ販売チャンネ
ルの多様化を図る戦略が一目でわかる結果となった。

 フォンテラのロードリー会長は、この一年を総括して、「フォンテラの初期段
階にわれわれは、世界中に展開する海外事業を活用し、貿易障壁などにより参入
が困難と思われた市場へアクセスするなど、NZ産生乳の販売機会を最大限にとら
えて、われわれの財産を築いているところである」とした上で、「これらの収入
は、すでに数十億NZドルになっている」と積極的な海外展開の成功について語っ
た。

 また、今後の目標として、「前例にとらわれない新機軸の確立と顧客重視の展
開を推進する」とし、さらに「NZの酪農生産者はフォンテラにより販売力を強化
できる」と統合の利点を力説した。

2002年度支払い乳価の引き下げや役員給与に対して生産者は不満を表明

 一方、組合生産者側は、今年度の支払い乳価が昨年の5.33NZドル(約320円)か
ら3.70NZドル(約222円)へ大幅に引き下げられることや、9人の役員に支払われ
る給与が200万NZドル(約1億2千万円)以上となることに対し、不満をあらわにし
ていることが報道されている。

 総会に先立ちロードリー会長は、自らの辞任を表明した。当初3年の任期で、N
Zデイリーグループ(NZDG)の副会長から抜てきされ会長の任に当たっていた。一
説には発生した損失の引責であるとも報じられているが、その真相は不明である。
後任は、NZDG会長のヘンリー・バンダーハイデン氏に決定した。


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