EU委、原産地呼称保護への登録申請書をHPに掲載  ● E U 


高品質な農産物の名称を保護し、農業生産の多様性を維持

 世の中には膨大な種類の食品があり、その中で、ある産品・製品が国境を越え
て評判を得るようになると、その産品・製品の偽物や、当該産品・製品と同じ名
前を用いるものが現れることがある。このように不正な産品・製品の出現は、正
当な生産者の商業活動の邪魔となるばかりではなく、消費者を惑わすことにもな
る。

 このようなことから、EUは、3つの原産地呼称保護制度を制定・運用している。
EUにおいては、地理的に区別された地域における確かな特徴をもつ高品質の農産
物について、価値が高まるようその名称を保護し、農業生産の多様性を維持・確
保するため、「原産地呼称保護制度(Protected Designation of Origin、PDO)
注1」、「産地表示保護制度(Protected Geographical Indication、PGI)注2」、
「伝統的特産品保証制度(Traditional Speciality Guaranteed、TSG)注3」を1
992年創設した。

登録申請中の産品・製品についての調査や異議申し立てが容易に

 EU委員会は、これらの原産地呼称保護制度について、登録申請しているものへ
の異議申し立てのための調査を容易にするため、8月27日から登録申請中の申請書
をホームページに掲載することとした。
  
  これら制度の下、製品を登録する際は少なくとも6ヵ月前に、EU委員会は申請さ
  れた製品の主な特徴をEU官報に掲載しなければならないとされている。これは、
  登録申請に対して、他の生産者などが異議申し立てを行う権利を確保するため
  であり、透明性のある登録手続きは、他の利害関係者が異議申し立てを行う権
  利を行使する上で必要条件となっている。このような中、数多くのEU官報に掲
  載されている登録申請中のものについての調査を容易にするため、すべての申
  請についてEU委員会農業総局のホームページに掲載した。

 このことにより、PDOなどへの登録前の調査がより簡素で効果的に行われること
が期待されている。

 なお、現在、これら制度においては、チーズ、肉製品、肉、動物由来製品(卵、
ハチミツ、バターを除く乳製品等)、果物・野菜および穀物、魚・魚介類および
加工物、ビールなど12の区分があり、チーズでは144銘柄が登録されている。ま
た、全産品の登録数を国別で見ると、フランス産が最も多く129銘柄、次いでイ
タリア産が116銘柄登録されている。

注1 PDO:特定の地域・場所に由来する、固有の自然的あるいは人的要因によっ
  て品質、特徴が規定されるもので、特定の地域で生産・加工・調整された食品
   (例)パルマハム(イタリア)、ノルマンディーのカマンベール(フランス)
   など
注2 PGI:特定の地域・場所に由来する品質、特徴を有するものであり、当該地
   域において生産、加工または調整のいずれかが行われた食品 (例)アルデン
   ヌハム(ベルギー)、バイヨンヌハム(フランス)、サヴォアのエメンタール
   チーズ(フランス)など
注3 TSG:組成や製造方法などにおいて伝統的な特徴を有している食品 (例)
   モツァレラチーズ(イタリア)、ハモンセラーノ(スペインの生ハム)など
参考:ホームページ掲載アドレス
(http://www.europa.eu.int/comm/agriculture/foodqual/protec/firstpub/ind
  ex_en.htm)




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