2002年上半期の貿易収支は大幅黒字   ● アルゼンチン


経済情勢の悪化や通貨切り下げで輸入額が大幅減

 国家統計局(INDEC)が発表したアルゼンチンの貿易動向によると、2002年上半
期(1〜6月)の輸出額(FOBベース)は、前年同期比7%減の124億6百万ドル(1兆
4,827億円:1ドル=119円)となった。一方、同国の経済情勢の悪化や、今年1月
の通貨切り下げなどによる影響で、同期の輸入額が63%減の42億3千百万ドル
(5,118億円)と著しく減少したことから、貿易黒字は約4.4倍の81億7千5百万ド
ル(9,728億円)となった。

  アルゼンチンでは、農林水産品(1次産品)およびその加工品の輸出額が全輸出
額の5割以上を占め、外貨獲得上、極めて重要な位置付けにある。2002年上半期の
農林水産品およびその加工品の輸出額は、前年同期比1.3%減の67億5百万ドル(8,
033億円)となった。この内訳を見ると、1次産品は10%減となる一方、農林水産
加工品は8%増となった。

  主要農産物輸出額の増減率を見ると、1次産品では、トウモロコシが17%減、大
豆が19%減、小麦が2%増などとなった。アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)
によると、トウモロコシおよび大豆の減少要因として、経済混乱から生産者が出
荷を控えたことが大きいとしている。また、農林水産加工品では、大豆かすが16
%増、大豆油が41%増、ヒマワリ油が59%増などとなっている。

EU向け牛肉輸出の解禁から食肉は9%増

 畜産部門では、食肉が9%増、酪農品・鳥卵が15%増となった。アルゼンチン
農畜産品衛生事業団(SENASA)の統計によると、2002年上半期の牛肉輸出量は、
生鮮肉(冷蔵、冷凍)が20%減の25,700トンとなったが、EU向け高級牛肉の関
税割当枠(ヒルトン枠)については、約5倍の26,900トンと著しく増加したこと
から、輸出額は増加する結果となった。同国では昨年3月、口蹄疫が発生したた
め、EUなどが輸入禁止措置を行ったが、EUは今年2月1日に3州を除き輸入を解禁
し、その後、全州からの輸入を解禁している。

  また、牛乳・粉乳類の輸出量は、前年同期比51%増の77,200トンと大幅な増
加となっている。なかでも、主に南米近隣諸国、アフリカおよび中東向けに輸
出している全粉乳の伸びは大きく、2001年の年間輸出量83,300トンの8割弱に当
たる65,000トンとなった。

下半期は、新規市場の開拓などから増加の見込み

  2002年の貿易動向について、アルゼンチン外務省レドラド次官によると、下半
期の輸出額は、新規市場の開拓などにより、上半期に比べて22億ドル(2,618億
円)の増加が見込まれるとしている。同国では、いまだに経済混乱が収束に向か
う気配が見えないものの、通貨安を背景にどこまで輸出を伸ばすことができるか
今後の動向が注目される。

 アルゼンチンの品目別輸出額(FOBベース)

 資料:国家統計局(INDEC)




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