EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2003年12月に2回の輸出補助金引き下げ


● ● ● 脱脂粉乳と全粉乳の輸出補助金を引き下げ ● ● ●

 EU委員会は12月13日、前日に行われた乳製品管理委員会での決定を受けて、
12月に入って2回目の脱脂粉乳および全粉乳に対する輸出補助金の引き下げを
実施した。EUの脱脂粉乳の輸出は、2002年夏以降、ユーロ高と強い輸出需要を
受けて価格が堅調に推移したことから、輸出の申請が増加していた。同委員会
は、GATT(関税と貿易に関する一般協定)による輸出補助金が支給可能の割当
量に到達する恐れがでてきたとして、10月と11月に輸出補助金の引き下げを実
施したが、それでも輸出の申請が減少しないため、12月6日には、脱脂粉乳の
輸出補助金を100キログラム当たり66ユーロ(約8,448円:1ユーロ=128円)か
ら同54ユーロ(約6,912円)に、全粉乳の輸出補助金を同105ユーロ(約13,440
円)から98ユーロ(約12,544円)へと引き下げ、さらに1週間後の12月13日に
は、脱脂粉乳の輸出補助金を100キログラム当たり54ユーロ(約6,912円)から
同44ユーロ(約5,632円)、全粉乳の輸出補助金を同98ユーロ(約12,544円)
から93ユーロ(約11,904円)と、異例の、月に2回の引き下げを行った。

◇図:脱脂粉乳の国際価格と輸出補助金の推移◇


● ● ● 輸出補助金、2001年7月にはゼロに ● ● ●

 脱脂粉乳に対する輸出補助金は、国際価格が下降傾向に入った97年の後半か
ら引き上げが続いていたが、世界的な需給の引き締まりを背景とした国際価格
の上昇を受けて99年10月から引き下げに転じ、2001年7月にはゼロとなった。
その後、国際価格が低下したことなどにより、4ヵ月後の2001年11月に、再開
し、以後、需要の落ち込みにより、国際価格も下落傾向に推移したため、輸出
補助金は引き上げられた。


● ● ● 国際価格は上昇し、2月以降低下 ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、今回の補助金の引き下げに
より、2002年12月の脱脂粉乳の国際価格は、前年同月比5.2%高、前月比27.8
%高の1トン当たり1,725ドル(約20万3,550円:1ドル=118円)、2003年1月に
は同年同月比15.3%高、前月比2.9%高の同1,775ドル(約20万9,450円)とな
った。

 しかし、2003年2月には、前月比8.5%安の1,625ドル(約19万1,750円)低下
し、EUは、これからが生乳生産量が増加する季節となり、脱脂粉乳の生産も増
加することから、国際価格はさらに下落すると見られている。

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