豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○素牛導入の一時停止によりフィードロット飼養頭数減少


● ● ● 総飼養頭数、前年度比12%減 ● ● ●

 豪州フィードロット協会(ALFA)は11月7日、豪州食肉家畜生産者事
業団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調
査の結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2002年9月末時点で、過去
最高を記録した前年同期と比べ12.0%減の65万3千頭であった。
前回(6月末時点)の調査時には、干ばつの飼料確保に与える影響が懸念され
ていたが、今回の調査結果では、前回との比較でも11.1%の減少となった。

◇図:州別フィードロット飼養頭数の推移◇


● ● ● 飼料穀物価格の値上がりにより、事業収益性の確保が困難 ● ● ●

 フィードロット飼養頭数を州別に前回の6末と比較してみると、すべての州
で減少した。中でも、全国の約5割を占めるクインズランド(QLD)州や西オー
ストラリア(WA)州でそれぞれ14.7%減、54.8%減と目立った落ち込みを示し
ている。また、前年同期と比較してみても、飼養頭数の多いQLD州とニューサ
ウスウェールズ州でそれぞれ15.7%、6.3%と減少している。ALFAは、この要
因について、多くのフィードロット、特にQLD州で、素牛導入の一時停止など
を行っていたことを挙げている。こうした動きは、過去6ヵ月間で肥育素牛価
格の下落があったものの、同期間に飼料穀物価格が値上りしたことなどにより、
事業の収益性の確保が困難となったためである。

◇図:四半期別若齢牛および主要飼料穀物価格の推移◇


● ● ● 放牧飼養が困難で、仕向け先不明の飼養頭数が増加 ● ● ●

 また、仕向け先別に見ると、輸出向けが35万5千頭で全体の54.3%、国内向
けが26万5千頭で同40.6%となり、6月と比較してほとんど変化はない。頭数は、
6月末と比較して、輸出向けが10.7%、国内向けが14.8%の減少と全体頭数の
減少がそのまま反映されている。干ばつ時には放牧飼養が困難となるため、フ
ィードロットへの導入が促進される傾向が見られるが、今回は仕向け先が不明
の「その他」頭数の大幅な増加に表れている。ただし、このことは同時にフィ
ードロット業界が飼料穀物や輸出面で不安定な状況に置かれていることを反映
しているとみられる。

◇図:仕向け先別フィードロット飼養頭数の推移◇

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