EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○バター価格が上昇


● ● ●2003年5月以降、上昇 ● ● ●

 EU域内のバター価格は2002年11月以降低下していたが、5月以降は上昇して
いる。ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によれば、指標価格の一つである
オランダブランドバターの9月の価格は、前年同月比1.8%高の100キログラム
当たり311ユーロ(約4万1千円、1ユーロ=131円)となった。

 2002年について見ると、EU域内のバター価格は、同年のバターの国際市況が
低迷したことや域内生産が増加したことなどから全般的に低迷した。同年の価
格(月ごとの単純平均の価格)は、301.5ユーロ(3万9,500円)と2000年以降
で最安値となった。また、2002年のバターの国際価格(西欧主要積出港の船積
み渡し価格の各月の単純平均)は、過去10年間で最低の1トン当たり1,063米ド
ル(約11万9千円、1米ドル=112円)となった。また、同年のバター生産量は、
前年比3.4%増の172万6千トン(暫定値)となった。

● ● ●家庭消費の堅調や域外向け輸出増加が要因 ● ● ●

 2003年5月以降、EU域内のバター価格が上昇した要因は、域内でバターの入
札による介入買い入れ(注)などが行われ価格の下支えが行われている中で、
家庭消費が堅調であることが挙げられる。EUでは近年、域内のバター消費低下
に歯止めがかかりつつあることが伝えられている。また、この夏の猛暑により、
アイスクリーム製造業者からの需要がおう盛であったことも影響している。

 さらに、今年に入り国際市況が回復する中、最大の輸出先であるロシア向け
など域外向け輸出が増加していることが挙げられる。ZMPによれば、2003年1月
から4月までのバター輸出量は、今年に入ってからの米ドルなどに対するユー
ロ高やイラク戦争の影響が懸念されたが、前年同期比69%増の11万トンと大幅
な増加となった。こうした中、EU酪農管理委員会は8月29日、・国際市況が回
復傾向であること・6月以降、米ドルなどに対しユーロ安の傾向となったこと
−などから、主要乳製品の輸出補助金を引き下げた。バターの輸出補助金はそ
れまでの100キログラム当たり185ユーロ(2万4千円)から13カ月ぶりで178ユ
ーロ(2万3千円)となった。

(注):加盟国のバターの市場価格が介入価格の92%以下になった場合、当該
    国の介入機関により介入価格の90%以下の価格で実施される。

● ● ●今後、バター価格は再び下落する可能性● ● ●

 現在域内では、バターの介入買い入れが行われていることにより、介入在庫
量は増加している。在庫量は、2002年12月末は19万1千トンであったが、2003
年8月末には前年同月比50.7%増の22万6千トンとなった。また、8月半ばから
夏期の過剰と冬期の不足を調整する目的で行っている民間在庫補助制度に基づ
く在庫(8月末は15万3千トン)からの放出が行われており、翌年の3月半ばま
で行われる。

 一方、国際市況は引き続き回復しており、9月の国際価格は前年同月比39.6
%高の1,550米ドル(17万4千円)となった。ただし、業界紙によれば、ロシア
が牛肉や豚肉などに導入している関税割当制度の導入を乳製品に対しても検討
している動きがあると伝えており、EUとしては、今後のロシアの動向が注視さ
れる。また、米ドルなどに対するユーロ安の傾向は、10月に入り弱まりつつあ
る。こうしたことから、今後EU域内のバター価格が再び下降する可能性は十分
あると考えられる。
バターの域内価格と国際価格の推移
資料:ZMP

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