デンマーク豚コレラの防疫体制は適切に機能


デンマークで豚コレラを疑う豚が発見

 デンマーク獣医食品局は9月24日、同国の南ユトランド地方のブランス(Bla
ns)のと畜場に搬入された豚の中に「豚コレラ」を疑う兆候を示すものが発見
されたため、直ちに当該と畜場の操業を停止させるとともに、当該豚と接触の
あった群が最終的な検査結果が出るまで、公的監視の下に置いたことなどの一
連の対応状況を公表した。

 また、同月26日には、フュン(Fyn)島のオーデンセ(Odense)のと畜場に
おいて、別の「豚コレラ」を疑う豚が発見されたため、と畜場の操業を停止さ
せるなど同様の措置を講じた。

 一方、ブランスで発見された豚コレラを疑う豚についての予備試験結果(pr
eliminary result)は、陰性(negative)であったこと、また、最終検査結果
は28日に出されることもフュン島の事例と併せて公表した。

 その後、デンマーク獣医食品局は、上記の2つの事例について、それぞれ同
月28日、29日に最終検査結果を公表し、いずれの豚についても「豚コレラ」で
はなかったとしている。また、今回の2つの事例も含め、今年で5件の豚コレラ
を疑う兆候を示す豚が発見されているが、いずれも最終的には、豚コレラは陰
性であった。

 なお、デンマークにおいては33年以降、豚コレラは発生していない。

疑う豚の発見で検査体制に自信

 デンマーク獣医食品局は、同国において豚コレラが発生する可能性は非常に
小さいものであるとした上で、豚コレラに似た兆候を示す豚を見つけた場合、
今回のようにその兆候に獣医官が敏感に反応することが重要であるとしている。
また、豚コレラは非常に伝染性が強いものであることから、当該病気がまん延
する危険性を減らすためには、迅速な撲滅対策の実施が不可欠であると説明し
ている。

 さらに、このような豚コレラを疑うものが発見されたのは、デンマークにお
ける防疫体制が適切に機能していることを示すものであると説明している。

 なお、今回の豚コレラを疑う豚の発見、そしてその結果として「陰性」とな
ったことについて、デンマーク豚肉機構連合は、同国における養豚産業の重要
性と、豚コレラによる被害の大きさから、と畜場の獣医官が豚コレラに似た兆
候を示す豚に対し、非常に注意深く対応しているためであると述べている。

 一方、欧州各国の畜産関係団体などを会員とする団体も、今回の一連の対応
状況について、検査が適切に実施されていることを示す「良い事例」であると
デンマーク当局と同様の考えを示している。

 さらに、このような事例が発見された場合において、食肉の消費等に悪影響
が及ぶことを防ぐためには、消費者および関係者に対し、情報をすべて公開し、
事実を正確に伝えることが非常に重要であり、今回の事例は、・関連する情報
がすべて公開されていたこと・疑問点については、確認が可能であったこと−
などから、冷静な対応が可能であったと当方の照会に答えている。

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