EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○成牛市場参考価格と牛枝肉卸売価格はほぼ同じ値動きで推移


● ● ●2002年12月で参考価格が廃止 ● ● ●

 EUでは、多くの農産物の共通価格が決定された1968年から、EU規則に基づき域内
の成牛市場参考価格( Reference price:以下、「参考価格」という。)が毎週算
定され、82年から正式に記録されてきた。参考価格は、各国の代表的な家畜市場な
どにおける牛の取引価格を加重平均したもので、牛肉の介入買い入れや各種補助制
度の実施に当たり、牛肉の市場状況を評価するための参考指標として用いられてき
た。加盟国の参考価格は、雄牛や去勢牛などすべての分類について加盟国ごとに集
計し、各加盟国の牛肉生産に占めるそれぞれの割合により加重平均を行い、算定す
る。EUの参考価格は、各国から報告された価格を基にしてさらにEUにおける各国の
牛の頭数割合に基づく加重平均を行い、算定する。なお、EUの牛肉介入買い入れの
指標となる価格は、各国の主要と畜場における牛の枝肉価格(以下、「枝肉価格」
という。)が報告され、これを基準に算定される。算定の結果、枝肉価格が介入価
格(注1)を2週連続して下回った場合に介入買い入れが行われる。

 しかし、参考価格は、近年、域内の牛肉流通が多様化し、家畜市場での取引が極
めて少なくなってきている状況から、牛肉市場を評価するための指標としては重要
ではなくなってきたため、 2002年 12月のEU規則改正により廃止された。 今回は、
2000年〜2002年までの参考価格と欧州家畜食肉取引業者連合(UECBV)から提供さ
れている牛枝肉卸売価格( 雄牛(格付け R2と R3(注2)のEU加重平均)と去勢牛
(R3とR4のEU加重平均。以下「卸売価格」という。)を比較してみたい。

注1:介入価格は、若齢雄牛(young bull)および去勢牛(steer bull)の枝肉で、
   EUの分類によりR3に格付けされたものを基準として設定されている。
 2:EUの枝肉格付けは、形態(Conformation:S(Superior)、E(excellent)、
   U(very good)、R(good)、O(fair)P(poor)の6段階)および脂肪(Fatness: 1(low)、
     2(slight)、3(average)、4(high)、5(very high)の5段階) により行われる。
     介入価格が設定されるR3は、形態および脂肪のそれぞれについて中間に位置する。

● ● ● 双方ともBSE問題再燃により低下、牛肉消費回復とともに上昇傾向 ● ● ●

 参考価格と卸売価格の推移を見ると、ほぼ同じ値動きを示している。2000年10月
以降、フランスを中心に域内で牛海綿状脳症( BSE )問題が再燃したことにより、
牛肉に対する消費者の不安が増大したことから、双方の価格は急落した。2001年も
その影響が続いたことから、10月まで全般的に低迷している。2002年に入り、域内
牛肉消費の回復が顕著になると、参考価格および卸売価格はともに回復してきてい
る。

 ただし、去勢牛の卸売価格は全体的な推移とは異なり、2001年に入るとある程度
持ち直している。これは、飼養頭数で去勢牛の割合が高いイギリスやアイルランド
などでは、BSE 再燃の影響が他国よりも少なかったことが考えられる。一方、若齢
雄牛の割合が高いフランスなどでは、 その影響が大きかったとみられる 。なお、
2001年は全般的に去勢牛の価格が雄牛の価格を上回っているが、2002年後半になる
と、雄牛の価格が去勢牛の価格を上回っている。

 また、価格の変動は、参考価格よりも卸売価格の方が大きい。これは、参考価格
は、去勢牛、若齢雄牛などを飼養割合に基づいて加重平均していることによる。

成牛市場参考価格と牛枝肉卸売価格の推移
資料:EU委員会、UECBV

● ● ●2003年1月以降、価格は低下 ● ● ●

 2003年 1月以降、枝肉価格は低下している。 1月の価格は 100キログラム当たり
279.6ユーロ(約3万9千円、1ユーロ= 138円)であったが、その後低下を続け、7月
には 266.3ユーロ(3万7千円)まで低下した。この理由としては、域内の牛肉消費
回復が引き続き伝えられている中で、・最近のユーロ高による域外向け輸出の停滞
・ブラジルやアルゼンチンなど南米産牛肉の輸入増加−が挙げられる。なお、卸売
価格もほぼ同様の値動きを示している。

EUの枝肉価格の推移
資料:EU委員会


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