タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○回復基調で推移するブロイラー生産


● ● ● 卸売価格、農家販売価格ともに上昇 ● ● ●

 タイ農業協同組合省によると、ブロイラー生産量は2002年5月以降前年同月を下
回って推移していたが、2003年4月には、1年ぶりに前年を1.2%上回る8千331万羽
となった。また、卸売価格は 1年ぶりに前年同月を上回り、21%高の1キログラム
当たり26.83バーツ(78円:1バーツ=2.9円)となった。

 農家販売価格についても同28.7%高の28.05バーツ(81円)にまで上昇している。
この要因としては、今年3月以降実施した生産調整の影響とその後のブロイラー価
格の高騰などが挙げられる。
農家販売価格の推移
資料:タイ商務省

● ● ● 生産者団体による生産調整は継続 ● ● ●

 同国の種鶏協会は7月末、ブロイラーの生産調整を継続することによりさらな
る価格の上昇が期待できるとし、当初計画からの2度目の生産調整の延長をする
ことを発表した。養鶏業者27社は合意に基づき、1回目の延長の期限である 8月
24日からさらに10週延長し、全体で30週間の生産調整を行うとしたものである。

 同協会によると初生ひなの生産を1週あたり1,800万羽程度(15〜20%を削減)
に維持することで計画当初1キログラム当たり18〜19バーツ(52〜55円)だった
卸売価格は現在、30バーツ(87円)を超えたとしている。一方、同国ブロイラ
ー輸出入協会によると、現在の高い輸出価格や年内の国内の農家販売価格の維
持は期待できるものの翌年の需給動向はが不透明なことから生産調整は継続す
べきとしている。

● ● ● EUの全量検査緩和へ ● ● ●

 8月1日、EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は、EUの保健・消費者保
護省がタイ政府の検査緩和申請を承認したのを受けて 、3日以内にタイ産ブロ
イラーの検査体制を、全量検査から20%の抜き打ち検査に切り替えると正式に
発表した。全量検査は、昨年、タイ産農産物からニトロフランなどの使用禁止
抗菌剤の残留が発見されたため2002年9月から行われていた。

 タイブロイラー輸出入協会によると、今回の検査緩和措置により輸出業者の
負担が1コンテナあたり約7,330バーツ(2,117円)削減できるとしている。また
同協会は、今回の緩和措置は2億バーツ(5億8千万円)にも上る最新の検査機材
の導入してタイ側の検査体制を強化したこともあって、6月以降同国からのブロ
イラーに抗菌剤の残留が見つかっていない実績が評価されたものだと している。


 なお、これに先立ち、同様の問題で全量検査が行われていたタイ産えびは6月
20日から20%の抜き打ち検査に移行している。

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